所得税 – アンパサンド税理士法人

Category Archives: 所得税

競走馬オーナーの所得税について

こんにちは。

税理士の大塚です。

 

12月22日は競馬の有馬記念でした。優勝賞金は3億円にもなるそうです。

歌手の北島三郎さんが所有するキタサンブラックが2017年に優勝したことも記憶に新しいところです。

 

今回は競走馬のオーナー、いわゆる「馬主」についての税金について解説します。

法人で馬主になることもありますが、個人のお話に限定します。

 

1 収益と費用

収益は、レースに出た際に貰える賞金や出走手当、もしくは競技中にケガを負った場合などにもらえる給付金といったものがあります。

 

費用としては、調教師に支払う委託料、騎手に支払う進上金、馬の輸送料などです。

通常の事業と同様、交際費や旅費交通費なども馬主事業に関するものであれば経費計上が可能です。

 

特徴的と言えるのは、競走馬の減価償却です。

器具備品や機械装置と同じように、競走馬も資産計上した上で、減価償却費として毎年徐々に費用化します。

競走馬の耐用年数は4年と決められています。

 

減価償却は、原則的には競走馬登録が完了した日から開始するのですが、継続適用することにより、馬齢二歳の4月から開始することも認められています。

 

2 事業所得か雑所得か

馬主の税金で、最も重要なのが事業所得になるか雑所得になるかという点です。

両者の最大の違いは、事業所得であれば損益通算ができますが、雑所得では損益通算ができないことです。

 

事業所得で赤字となった場合、他に給与所得などがあれば相殺することが可能です。

雑所得では赤字は切り捨てられて終わりです。

 

所有している馬があまり勝てないと赤字になる年も多くなりますので、事業所得として損益通算ができることは大きなメリットです。

その他、青色申告による最大65万円の青色申告控除など、事業所得の方が優遇されている規定が多くなっています。

 

事業所得になるかは、競走馬の保有数や出走回数によって決まります。

具体的には下記のような取り扱いです。

 

(1)保有頭数による判定

①その年において、登録期間が6月以上である競走馬を5頭以上保有している場合

②その年以前3年以内の各年において、登録期間が6月以上の競走馬を2頭以上保有し、かつ、その年の前年以前3年以内のうちに、競走馬の保有に係る所得の金額が黒字の金額である年が1年以上ある場合

 

(2)出走回数による判定

その年の前3年間の各年において競馬賞金等の収入があり、その各年のうち年間5回以上(2歳馬については年間3回以上)出走している競走馬を保有する年が1年以上ある場合

 

※事業所得として認められためには、日本中央競馬会や各地方競馬組合が発行する証明書の添付が必要となります。

 

一口馬主という制度もありますが、これは組合に対して出資をし、組合が競走馬を持つような仕組みで、賞金の配当なども口数に応じて受け取れますが、出資の配当という位置づけになり、雑所得になります。

 

3 消費税の納税義務者になることも

馬主事業で消費税の納税義務者になることもあります。

競馬の賞金は競走馬を出走したことによる対価であり、通常の事業の売上と同じく消費税がかかっています。

 

消費税は、幾つか例外規定はありますが、原則として前々年の課税売上が1,000万円以上の場合に納税義務が生じます。

 

賞金や出走手当などで、1,000万円以上あった場合は、翌々年に消費税納税義務が出ることに注意が必要です。

 

消費税は、賞金などの収入に対する消費税から、競走馬購入や経費など支払った消費税を控除して納付します。

競走馬の購入金額が大きいような場合は、還付となることもあり得ます。

 

納税義務がない場合でも、届出を出すことで敢えて消費税の納税義務者となり、還付を取ることもできます。

この場合、一定年数消費税の納税義務が生じますので、翌年以降の計画を検討して決める必要があります。

 

4 その他の税金

競馬の賞金については75万円を超えた場合、源泉所得税が引かれて入金されます。

源泉所得税はあくまで所得税の前払ですので、確定申告をすることで精算されます。

 

雑所得で赤字だった場合、損益通算もできないので確定申告をしても意味がないかと思いがちですが、源泉所得税が引かれている場合は申告することで還付を受けられる可能性があります。

 

個人事業税については、対象業種に入っていないためかかりません。

 

5 最後に

競走馬のオーナーにかかる税金は、事業所得になるか雑所得になるかでも取り扱いが大きく異なりますし、消費税の納税などもあり、奥が深いものです。

是非、今回解説したことを参考にして、税金面の検討もしてみて下さい。


一時的に収入が増加された場合 平均課税制度の検討を

こんにちは。

税理士の大塚です。

 

プロ野球もドラフト会議が終わり、新人選手の契約のニュースも一段落してきました。

上位で入団する選手は契約金1億円など景気の良い話が出ますが、税金が大変ではないかと思われる方もいるのではないでしょうか。

 

日本の所得税は超過累進課税制度と言って、所得が増えるほど税率が上がります。

その年の所得金額によって、税率が変わる制度が採られています。

 

プロ野球選手の契約金のように収入が大きければ、当然税率も高くなります。

ところが、翌年の収入は契約金がなくなりますので、契約金をもらえる年は一時的に収入が増加した状態とも言えます。

 

このような話は何もプロ野球選手に限ったことではありません。

収入の変動が激しい事業を行われていて、ある年だけ収入が多くなるという場合もあるでしょう。

通常はもっと低い税率なのに、たまたま収入が増加した際にその分高い税率で多額の税金を支払わなければならない。

これでは、不公平だと感じる方もいらっしゃると思います。

 

例えば、同じ1億円をもらう場合でも、1年で1億円もらう方と、5年間2,000万ずつもらう方では、税金負担は圧倒的に前者が大きくなります。

 

そのような場合に備えて、「平均課税制度」という制度があります。

 

1 制度概要

平均課税制度とは、一時的に収入が増加した方や収入の変動が激しい方に対して設けられているもので、通常使用される超過累進税率よりも低い税率で計算できる制度です。

 

ただし、全ての方が適用できる制度ではありません。

前提として「変動所得」と「臨時所得」のいずれかの所得がある方が対象となります。

 

2 臨時所得と変動所得

代表的な「変動所得」、「臨時所得」は以下のものです。

(1)変動所得

原稿、作曲の報酬 著作権の使用料 漁獲による所得 など

(2)臨時所得

プロ野球選手の契約金、不動産の長期貸し付けによる権利金 など

 

これらに該当しない場合は、一時的に収入が増加されていても使用できません。

 

ただし、変動所得が範囲を限定しているのに対して、臨時所得は「これらに類する所得」と範囲を限定していませんので、該当しそうな収入があれば税務署へ相談してみるのも良いと思います。

 

3 適用できる条件

変動所得や臨時所得があった場合、平均課税制度を利用できる条件は下記の通りです。

 

(1)臨時所得、変動所得の合計が、総所得の20%以上であること

(臨時所得+変動所得) ≧ 総所得金額の20%

 

(2)変動所得がある場合は、前年、前々年の変動所得の合計の50%を超えていること

前年、前々年に変動所得がない場合は、金額の要件はありません。

この要件を満たさないと、臨時所得のみが平均課税制度の対象となります。

 

4 計算方法

平均課税制度が適用できる場合の具体的な計算例をみていきます。

 

●総所得金額35,000,000円

内 臨時所得10,000,000円 変動所得20,000,000円

●前々年と前年の変動所得の合計12,000,000円

 

(1)平均課税対象金額を求める

臨時所得の金額 + 変動所得の金額 -(前々年と前年の変動所得合計額の50%)

前々年と前年に変動所得がない場合は、単純に臨時所得と変動所得の合計となります。

 

10,000,000円+(20,000,000円-12,000,000円×50%)=24,000,000円

 

(2)平均課税対象金額の5分の4 を除いた所得金額に対する税金を求める

この場合は、通常の超過累進税率を用いて計算を行います。

 

35,000,000円 -24,000,000円 × 5分の4 =15,800,000円

15,800,000円に対する税金を超過累進税率で計算 → 税金 3,678,000円

 

(3)平均税率を求める

上記の(2)で求めた税金を、対象となった所得で除して割合を求めます。小数点以下は切り捨てです。

 

税金3,678,000円 ÷ 対象となった所得15,800,000 = 平均税率 23%

 

(4)残りの平均課税対象額の5分の4部分の所得に対して平均税率で税金を求める

 

24,000,000円 × 5分の4 =19,200,000円

19,200,000円 × 23% = 税金 4,416,000円

 

(5)税額を合算する

上記(2)と上記(4)の合算になります。

3,678,000円 + 4,416,000円 = 税金 8,094,000円

 

※平均課税を用いずに、通常の超過累進税率を用いた場合

35,000,000円に対する税金を超過累進税率で計算 → 税金 11,204,000円

結果、平均課税を利用すると3,110,000円お得になります。

 

5 最後に

計算例で示したように、平均課税を使用する場合と使用しない場合とでは税金に大きな違いが出ることがあります。

 

臨時的な収入があったような方は、平均課税制度が適用できないかを検討してみることをお勧めします。

 

ここでは書いていない細かい要件もありますし、実際に適用する場合は、確定申告に計算書を添付する必要もあります。

 

分からないことがあればお気軽にお問い合わせ下さい。


災害により損害を受けたときの所得税の軽減措置とは!?【雑損控除まとめ】

こんにちは。

税理士の山田です。

 

台風15号及び19号による被害は甚大なものがありました。

被害を受けてしまった方々に心からお見舞い申し上げます。

 

また、災害によりご自宅などに損害を受けた方は多いかと思いますが、その場合については、所得税の軽減措置があります。

制度としては少し複雑なものとなりますが、まとめていきたいと思います。

ご自宅などの被害に遭われた方の一助になれば幸いです。

 

さて、地震・火災・風水害などによって、住宅や家財などに損害を受けたときは、

確定申告で下記のいずれかの方法で所得税の軽減を受けることが出来ます。

 

Ⅰ「所得税法」による雑損控除による方法

Ⅱ「災害減免法」による所得税の軽減免除による方法

 

どちらか有利な方法を選ぶことが出来ますので、それぞれどのような制度なのか整理していきたいと思います。

1 制度概要

まず、それぞれの制度の概要を表に整理します。

Ⅰ「所得税法」による雑損控除による方法

項目 内容
損失の発生原因 災害盗難横領による損失
対象となる資産の範囲等 住宅家財(家具、家電、什器、衣類、書籍、現金など)車両等で生活に通常必要な資産

※対象にならないもの・・・棚卸資産や事業用の固定資産、生活に通常必要でない資産(高級車、別荘、ゴルフ会員権、1個で30万円を超える貴金属・書画・骨とう等)

控除額の計算 控除額は次のAとBのうち、いずれか多い方の金額です。

A 差引損失額-総所得金額等の10分の1

B 差引損失額のうちの災害関連支出の金額-5万円

控除の期間 3年間の繰越控除が可能

 

Ⅱ「災害減免法」による所得税の軽減免除による方法

項目 内容
損失の発生原因 災害による損失(盗難・横領は×)
対象となる資産の範囲等 住宅又は家財の損失額(※1)が、その価額の2分の1以上である場合
所得税等の軽減額 その年分の所得金額 所得税等の軽減額
500万円以下 全額免除
500万円超750万円以下 2分の1の軽減
750万円超1,000万円以下 4分の1の軽減
控除の期間 被害を受けた年のみで控除が可能

 

どちらの制度を使うのが有利かは非常に判定が難しいですので、どちらも当てはめて計算してみて有利となる方で申告をしましょう。

 

2 「差引損失額」「災害関連支出の金額」とは

(1)「差引損失額」の計算方法

「差引損失額」とは下記の算式で求めます。

差引損失額

= 損害金額※1 + 災害等に関連した
やむを得ない支出の金額※2

保険金などにより
補てんされる金額※3

 

※1 「損害金額」とは、損害を受けた直前におけるその資産の時価を基にして計算した損害の額です。計算方法については、次の(2)で詳しく説明していきます。

※2 「災害等に関連したやむを得ない支出の金額」とは、災害の場合にはほとんど「災害関連支出の金額」とイコールと考えてください。

※3 「保険金などにより補てんされる金額」とは、災害などに関して受け取った保険金・災害見舞金・損害賠償金の合計額です。

 

(2)「損害金額」

損害金額の計算は下記の区分に応じて計算します。

① 住宅に対する損失額の計算

A 住宅の取得価額が明らかな場合

損失額(注1、2) =(住宅の取得価額 - 減価償却費) × 被害割合※

B 住宅の取得価額が明らかでない場合

損失額 =〔(1m2当たりの工事費用※ × 総床面積)- 減価償却費〕 × 被害割合※

② 家財に対する損失額の計算

A 家財の取得価額が明らかな場合

損失額 = (家財の取得価額 - 減価償却費) × 被害割合※

B 家財の取得価額が明らかでない場合

損失額 = 家族構成別家庭用財産評価額※ × 被害割合※

③ 車両に対する損失額の計算

損失額 = (車両の取得価額 - 減価償却費 )× 被害割合※

 

下記の国税庁HPにてそれぞれの別表情報を公表しています。

https://www.nta.go.jp/about/organization/tokyo/topics/sonshitsu/index.htm

別表1 地域別・構造別の工事費用表(1平方メートル当たり)
別表2 家族構成別家財評価額
別表3 被害割合表

 

非常に複雑な計算となりますが、諦めずにチャレンジしましょう。

判断に迷う部分についても所轄の税務署にも相談しながら進めて下さい。

 

(3)「災害関連支出の金額」

災害関連支出は、災害に関連してやむを得ない支出をいい、次のようなものが該当します。

① 被災した資産の取り壊し・除去のための支出

・住宅、家財などの取り壊し・除去

② 被災した資産を使用できるようにするための支出で災害後1年以内(大規模な災害の場合には3年以内)に支出したもの

・土砂その他の障害物を除去するための支出

・原状回復のための支出(損失部分の金額を除く)

・損壊又は価値の減少を防止するための支出

③ 被害の拡大又は発生を防止するため緊急に必要な措置を講ずるための支出

・倒壊する恐れがある住宅からの家具の搬出

・家屋の倒壊を防止するための雪下ろし

 

3 どのように確定申告の準備をすべきか?

色々と複雑な説明を続けましたが、まずすぐに準備出来ることは何か?

そんな視点で内容をまとめてみましたので、参考にしてみてください。

 

(1)罹災(被災)証明書の取得

まず前提として罹災証明書の取得は必須ではありません。

なので、仮に罹災証明書が無かったとしても諦めないでください。

ただ、罹災証明書があることによって税金の還付手続きもスムーズに進められる可能性が高いです。

可能な限り証明書の取得申請をしておきましょう。

 

罹災証明書の申請はお住いの市区町村に対して行います。

その際には『現場の被害状況が解る写真など』があると手続きがスムーズに進みますので、準備しておきましょう。

 

(2)被害を受けた資産の取得時の情報を把握

損害額の計算にあたって、被害を受けた資産の取得時の情報、つまり、資産内容、取得時期、取得価額が解るとベターです。

ただし、情報が無かったとしても『取得価額が明らかでない場合』の計算方法を上記国税庁のHPにて記してくれています。

諦めずに計算してみましょう。

 

(3)被害を受けた資産の取得時の情報を把握

後は実は確定申告にあたって提出が必須となる書類は『災害関連支出の金額の領収証と明細』のみとなります。

ただし、(1)(2)にも記載の通り下記の書類があると、手続きがスムーズに進められますので参考にしてください。

 

・被害を受けた資産の明細(内容、取得時期、取得金額)が解るもの

・保険金、損害保険金、災害見舞金があれば、その金額が分かるもの

・市町村から交付を受けた罹災(被災)証明書の写し

・その他源泉徴収票などの通常の確定申告で必要な書類

 

4 最後に

災害により損害を受けたときの所得税の軽減措置についてまとめてみました。制度としては、非常に複雑なものとなりますので、出来る限り正確かつシンプルに整理しました。

それでも中々すぐに見て解る説明ではないと思いますが、特に『3どのように確定申告の準備をすべきか?』について準備を進めて最後は税務署に相談しましょう。

 

どこまでの情報でどこまで税金の還付が受けられるか最終的な判断は税務署で行います。

税務署の職員は優しい方も多いですし親身になって対応してくれます。

 

『税金を徴収する怖い人』というのは過去のイメージですので、気軽に問い合わせて見てください。

雑損控除は災害による被害を受けた方の優遇制度として設けられた制度です。

ちゃんと制度を使うことが出来る多くの方々が、適正に制度の適用を受けられることを祈っています。


中小企業向けの即時償却+αの優遇制度がスタート!!

こんにちは。

 

税理士の山田です。

 

中小・小規模事業者向けに「攻めの投資」を支援する税制措置が出来たのをご存知でしょうか。

 

一定の手続きを踏んで取得した設備に対して、購入年度に100%即時償却が出来ます。

 

さらに、一定の地域・業種については、固定資産税を3年間半分に減免します。

 

そして対象となる設備は、建物付属設備、工具器具備品、機械装置と幅広いです。

 

 

手続きが非常に煩雑なのですが、準備がちゃんと出来ていれば、要件自体は決して厳しくありません。

 

下記のポイントを抑えて確実に制度の適用を受けられるようにしてください。

 

 1、優遇制度を受けるための手続きの流れは?

 

要件はA類型・B類型の2パターンあり、それぞれ手続きの流れが異なります。

 

【A類型 生産性向上設備】

 

① まずは生産性が旧モデル比年平均1%以上改善する設備であることを証明

⇒ 設備の種類ごとに管轄の工業会にて証明書を発行して貰う。

 

② 続いて経営強化法の認定

⇒ 「経営力向上計画」を策定し、各事業分野の担当省庁から認定を受ける。

 

【B類型 収益強化設備】

 

① まずは投資利益率が年平均5%以上の投資計画に係る設備の認定

⇒ 経済産業局による投資利益率に関する確認書を取得

 

② 続いて経営強化法の認定

⇒ 「経営力向上計画」を策定し、各事業分野の担当省庁から認定を受ける。

 

A類型①の手続きはメーカー経由で手続きを行いますが、それ以外の手続きは事業者自身で行う必要があります。

 

つまり、A類型の手続きの方が事業者の負担は軽いですので、証明書の発行が可能かまずはメーカーに問い合わせ確認しましょう。

 

また、B類型の手続きは設備の取得前に完了している必要があります。1日でも送れますと優遇制度を受けられませんので注意してください。

 

手続きの詳細は下記の中小企業庁のサイトをご確認ください。

 

http://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/2017/170315kyoka.htm

 

2 対象となる設備は?

 

対象設備は非常に幅広いのですが、設備の種類ごとに取得価額の要件があります。また、A類型の場合には先端設備であるために販売開始時期の要件もありますので合わせてまとめてみます。

 

設備の種類 取得価額の要件 販売開始時期の要件
機械及び装置 160万以上 10年以内
工具 30万以上 5年以内
器具備品 30万以上 6年以内
建物付属設備 60万円以上 14年以内
ソフトウェア 70万円以上 5年以内

 

他にも以下の4点を抑える必要がありますので注意してください。

□ 生産等設備であること(事務用器具、管理部門、寄宿舎の設備は対象外)

□ 国内への投資であること(国外資産は対象外)

□ 新品の資産であること(中古資産は対象外)

□ 自社で使用する資産であること(貸付用資産は対象外)

 

3 指定事業にあてはまるか?

 

事業内容が以下の指定事業のいずれかにあてはまる必要がありますので、注意しましょう。

 

製造業、建設業、農業、林業、漁業、水産養殖業、鉱業、卸売業、道路貨物運送業、倉庫業、港湾運送業、ガス業、小売業、料理店業その他の飲食店業(料亭、バー、キャバレー、ナイトクラブその他これらに類する事業を除く)、一般旅客自動車運送業、海洋運輸業及び沿海運輸業、内航船舶貸渡業、旅行業、こん包業、郵便業、損害保険代理業、情報通信業、駐車場業、学術研究、専門・技術サービス業、宿泊業、洗濯・理容・美容・浴場業、その他の生活関連サービス業、映画業、教育・学習支援業、医療、福祉業、協同組合、サービス業

※性風俗関連特殊営業に該当するものは除く

 

ほとんどの業種が含まれてはいるのですが、電気業は含まれていませんので、いわゆる全量売買のための太陽光設備は対象になりません。

 

例えば自社の工場で利用する場合には、製造業の区分となりますので、設備自体ではなく、事業の内容に応じて判定を行います。

 

4 どのような優遇が受けられるか?

 

上記の手続き・要件を踏まえたうえで、設備を購入した企業は以下のいずれかの制度が受けられます。

 

① 100%即時償却(購入金額の全額を初年度に費用処理)

② 7~10%の税額控除(購入金額の7~10%を法人税額等から控除)

 

どちらを選択するにしても大きなメリットがある制度です。是非、事前に検討しておきましょう。

 

 

(参考)取得価額の判定、機械装置とは?

 

本制度の検討を行うにあたり、取得価額の判定は非常に難しい要素になります。

 

機械装置ですと160万円以上、器具備品ですと30万円以上の設備が対象ですが、そもそも設備が機械装置に該当するのか、器具備品に該当するのかは難しい判断となります。

 

機械装置の定義は「外力に抵抗し得る物体の結合からなり、一定の相対運動をなし、外部から与えられたエネルギーを有用な仕事に変形するもので、かつ、複数のものが設備を形成して、設備の一部としてそれぞれのものがその機能を果たすものをいう」となっております。

 

(平成19年10月30日の不服審判所の裁決を参照)

http://www.kfs.go.jp/service/JP/74/16/index.html

 

上記の定義にあてはまらないものは、一般的に『器具備品』に該当する可能性が高いです。

 

ですが、『複数のものが設備を形成して』という部分については例外の設備もあり、クレーン、ブルドーザー、のように単一の設備で機械装置に該当するものもあります。

 

また、逆に機械装置に該当した場合には、定義に『複数のものが設備を形成して』とありますので、購入単位とは関係なく、複数のものを合算して取得価額の判定が出来ることもあります。

 

今までは税務署も設備の区分について、納税者の判断を覆すことは多くありませんでしたが、本制度の適用を考えますと設備の区分を慎重に検討する必要があります。


役員に対し社宅を貸与した場合の税務

こんにちは。

税理士の山田です。

 

今回は節税対策として良く利用される役員社宅の取扱について説明します。

 

役員に対して会社所有の不動産を社宅として貸与する場合には、役員から

1ヵ月当たり一定額の家賃(「賃貸料相当額」)を受け取っていれば給与として課税されることはないですが、

無償での貸与や、賃貸料相当額に満たない金額を受け取っている場合は、

賃料相当額との差額が給与として課税されますので注意しましょう。

 

この基準となる賃料相当額は、貸与する社宅の床面積により

『小規模な住宅』とそれ以外の住宅つまり『大規模な住宅』に分かれ、計算方法が異なります。

 

※ 小規模な住宅とは、それぞれ以下のものを言います。

・ 建物の耐用年数が30年以下の場合(例:一軒家、小規模アパート)

⇒ 床面積が132平方メートル以下である住宅

・ 建物の耐用年数が30年を超える場合(例:コンクリートマンション)

⇒ 床面積が99平方メートル以下である住宅

 

【小規模な住宅のケース】

小規模な住宅の場合の基準となる「賃貸料相当額」は、以下の合計額となります。

(1)その年度の建物の固定資産税の課税標準額×0.2%、

(2)12円×その建物の総床面積(平方メートル)/3.3平方メートル

(3)その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×0.22%、

 

※ 住宅の場所や景気状況にも左右されますが、上記により計算した『賃貸料相当額』は

一般的な賃料相場の10^20%程度になると言われています。

 

 

【大規模な住宅のケース】

一方、大規模な住宅の場合の基準となる「賃貸料相当額」は、以下の合計額の12分の1となります。

(1)その年度の建物の固定資産税の課税標準額×12%(建物の耐用年数が30年を超える場合には10%)

(2)その年度の敷地の固定資産税の課税標準額×6%

※ 会社が他から借り受けた大規模な住宅等を貸与する場合には、上記で計算した金額と

会社が家主に支払う家賃の50%の金額とのいずれか多い金額が、基準となる「賃貸料相当額」となります。

 

 

さらに、役員に貸与する社宅が、社会通念上一般に貸与されている社宅と認められない、

いわゆる「豪華社宅」である場合には、時価(実勢価格)によることとなるので注意が必要です。

 

また、現金で支給される住宅手当や入居者が直接契約している場合の家賃負担は、

社宅の貸与とは認められないので、給与として課税される点にも注意が必要です。

つまり社宅家賃の取扱が利用出来るのは、会社が選定し契約をした住居に役員が入居するケースに限られます。


減税制度で投資家を集めるエンジェル税制とは?

こんにちは。

税理士の山田です。

 

エンジェル税制という制度をご存知でしょうか。

 

これは、新規事業を行う中小企業が投資家より出資を集めるための制度で、

この制度を利用すると投資家は中小企業への投資によって減税を受けることができます。

効果としてはそこまでの影響額ではありませんが、企業版のふるさと納税に近いイメージです。

 

エンジェル税制の適用を受けるためには、投資を受ける側の中小企業が

経済産業省に確認申請をし、エンジェル税制の対象企業として確認を受ける必要があります。

 

※経済産業省 エンジェル税制のご案内

http://www.meti.go.jp/policy/newbusiness/angel/

 

実は今年に入って、ある会社のエンジェル税制の申請のお手伝いをさせて頂きました。

この制度は実はまだ全然活用がされておらず、年間の利用企業数が10数社程しかありません。

 

それでは一体どんな制度なのでしょうか。

制度の内容を簡単にまとめてみます。

 

【エンジェル税制の優遇措置とは?】

この制度を利用できるエンジェル投資家は次のいずれかの優遇を受けられます。

① 『投資額-2,000円』をその年の確定申告で所得から控除できる(寄付金控除、上限あり)

② 投資額の全額をその年の他の株式を売却したことによる譲渡益から控除できる

※ ただし、①の制度は設立から3年未満の会社、②は設立から10年未満の会社への投資が対象です。

※ 一般的には①の制度を利用した方が有利になる方が多いです。

 

【減税制度となる企業の要件は?】

① 創業から3年未満または10年未満の会社であること(年数は制度による)

② 会社の設立経過年数に応じた一定の要件

新事業のために一定の人員やコストを要しているか、営業キャッシュフローが赤字か 等

※ ただし、新事業とは必ずしも研究を擁するような事業でなくても構いません。

③ 特定の投資家グループからの出資が合計の5/6を超えていないこと。

④ 大会社又はその子会社ではないこと、未上場会社であること、風俗営業ではないこと

 

【減税制度となる投資家の要件は?】

① 金銭の払い込みにより株式を取得しているか

② 対象企業の株式保有割合の順位で上位3位以内に入らないこと

※ ②の要件は正確にはより細かい要件がありますが、煩雑であるため解りやすいように説明を簡略化しています。

 

具体的には以下のご案内にエンジェル税制の詳細が記載されています。

http://www.meti.go.jp/policy/newbusiness/angel/pdf/angeltax_panf1.pdf

 

 

細かい要件はありますが、実は複数の投資家から資金を集めている会社であれば、

上記の要件はある程度当てはまっている可能性が高いです。

 

大企業の子会社はこの制度の利用が出来ませんが、中小企業においても

最近は投資型のクラウドファンディング等、資本が自由化されて行っており、

この制度の利用が出来るケースは増えて言っているのではないかと思います。

 

利用出来る制度は極力利用して、経営を有利に進めていきましょう!

当事務所では税金に限らず、経営のお手伝いをしています!