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電子取引における証憑の保存について

こんにちは。

税理士の大塚です。

 

最近は請求書や領収書などの書類を、メールやシステムでやり取りするケースも増えてきました。特にコロナの影響からテレワークを推進されている企業も多く、極力紙ベースではなくデータでのやり取りへのシフトすることを検討されている方もいらっしゃると思います。今回は電子取引による書類の保存方法について解説します。

 

1 電子取引とは

電子取引とは、取引情報の授受を電磁的方式により行う取引をいいます。取引情報は、契約書、請求書、領収書等の書類に通常記載される事項であり、これらの情報を電子上でやり取りする取引になります。

具体的には、以下のようなものが該当します。

 

(1)電子メールによる請求書、領収書のPDFファイル等の受領
(2)インターネットのホームページから請求書、領収書のデータをダウンロードすることでの受領
(3)電子請求書や電子領収書の授受に係るクラウドサービスを利用
(4)クレジットカードの利用明細データ、交通系ICカードの支払データ等を活用したクラウドサービスの利用
(5)特定の取引に係るEDIシステムを利用

 

2 電子取引による書類の保存は税務署の承認が不要

電子データでの書類の授受がされた場合、大きく以下の二つに分けられます。

 

(1)電子データでも行うが、紙も発行されるケース
(2)電子データで完結するケース

 

(1)については、例えばメールで請求書を送った後に、原本を紙で郵送するようなケースです。紙が出る以上は、その紙を保存する義務が出てしまいます。紙ではなく電子データで保存をしたい場合は、3か月前までに税務署へ承認申請が必要です。相手から受領する請求書や領収書を電子データとして保存する場合は、スキャナ保存といって、タイムスタンプを付与する必要があります。

(2)については、①紙に出力したものを保存、②電子データのまま保存、のいずれかを選択することになります。ここが重要なポイントですが、②電子データのまま保存を選択した場合でも、税務署への承認申請は不要です。

 

簡潔にまとめると以下の通りです。

 

但し、電子取引につき無条件で電子データのまま保存することを認めているわけではなく、一定の要件を満たす必要があります。逆に言えば、一定の要件を満たすのが難しい場合は、①紙に出力したものを保存することが求められます。

 

3 電子データのまま保存する要件

電子取引を行った際に、電子データのまま保存を行う要件は以下の通りです。これら全ての要件を満たす必要があります。

 

(1)システムの概要を記した書類の備付

自社開発プログラムを利用する場合に限ります。

(2)見読可能装置の備付

ディスプレイ、プリンターなどの備付が必要です。

(3)検索機能の備付

取引年月日、取引金額など主要な項目につき検索ができることに加えて、例えば1月から3月の間といった範囲を指定しての条件設定が可能であること、任意の二以上の項目を組み合わせて条件設定が可能であること、が必要となります。

(4)その他以下のいずれかの要件を満たす

①タイムスタンプが付与されたデータを授受

②授受後遅滞なくタイムスタンプを付与

③訂正、削除ができない(行った場合確認ができる)システムを利用しての授受、保存

④「正当な理由がない訂正及び削除の防止に関する事務処理の規定」の策定、運用、備付

 

電子データのまま保存と一口に言っても、例えばメールで送られてきたPDFの請求書をサーバーに保存しておけば良いというわけではなく、これらの4要件を満たしていくことが必要です。従って、現実的には外部システムを導入して保存していく以外は難しいかと思います。

(1)から(3)までの要件は保存のためのシステム面の規定です。外部システムを導入される場合は、(1)の要件は不要ですので、(2)(3)を満たす必要があります。特に(3)の検索機能の備付については、ある項目を単純に検索できるだけでなく、範囲指定や任意の二以上の項目指定も必要など細かい要件が求められます。

 

それに対して、実際の電子データの授受につきどのような措置が必要かというのが(4)の部分です。従来は②、④しか認められていませんでしたが、改正により2020年10月1日以降は①、③が加わることになりました。この改正により、例えば業者からの請求書にタイムスタンプがあらかじめ付与されていれば、①の要件を満たすことになります。

 

また、訂正や削除ができないクラウドサービスのシステムを通じて請求書等を授受する場合は③の要件を満たします。このようなサービスは今後増加していくことが予想されますが、保存要件に合致するかは、事前にシステム会社に確認することをお勧めします。

タイムスタンプや、訂正・削除に制限を持たせたシステムを利用することが難しい場合でも、④の事務処理の規定があれば電子データのまま保存することが可能です。国税庁が公表している「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」の問19に具体的な規定の例文がありますので、参考にしてみて下さい。

※国税庁 電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】

https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/07denshi/02.htm#a019

国税庁が公表している規定は、自社の規定により訂正、削除を防止する規定になっておりますが、取引相手と契約によって防止する方法も認められています。この場合は、事前に訂正、削除の防止に関する条項を含む契約を締結する必要があります。


2020年より給与所得控除、基礎控除が変わります!

こんにちは。

税理士の大塚です。

 

今回は2020年の所得税から変更になる給与所得控除、基礎控除について解説します。

また、青色申告の65万円特別控除の要件も追加されておりますのであわせてご確認下さい。

 

1 給与所得控除

まず給与所得控除とは何かについて簡単に説明をします。

個人の所得税は「所得」の金額に対して税金が課せられますが、所得の金額とは「利益」の金額のことです。

個人事業主の方は、売上から経費を控除した残額が利益になるということで分かりやすいと思います。

 

一方で、給与をもらっているサラリーマンの方の利益はどう計算されるかというと、給与収入の金額に応じて経費に相当する金額が自動的に決まります。

例えば、給与収入500万円の方は、経費相当として144万円を差し引くことができます。この経費に相当する金額を給与所得控除と言います。

(特定支出の控除については省略します。)

 

2020年より給与所得控除の金額が変わります。

改正点のポイントは以下の二つです。

 

(1)一律で控除額が10万円減少する

後述します基礎控除が逆に10万円上がる関係で、多くの方は影響がありません。但し、合計所得金額が2,400万円を超える方は、基礎控除も減少していきますので、増税になる方も出ます。

(2)子育て・介護世帯以外の給与収入850万円超の方は195万円が上限になる

改正前は、給与収入1,000万円超の方の上限を220万円としていました。

子育て・介護世帯は影響を受けませんので、改正前と比べると(1)の通り10万円減少するのみになります。

 

まとめると下記の表の通りになります。

給与収入額 給与所得控除 改正前 給与所得控除額 改正後
子育て・介護世帯以外 子育て・介護世帯
162.5万円以下 65万円 55万円 55万円
162.5万円超

180万円以下

収入×40% 収入×40%-10万円 収入×40%-10万円
180万円超

360万円以下

収入×30%+18万円 収入×30%+8万円 収入×30%+8万円
360万円超

660万円以下

収入×20%+54万円 収入×20%+44万円 収入×20%+44万円

660万円超

850万円以下

収入×10%+120万円 収入×10%+110万円 収入×10%+110万円

850万円超

1,000万円以下

195万円
1,000万円超 220万円 210万円

 

子育て・介護世帯とは、(1)給与所得者本人が特別障害者に該当する場合、(2)年齢23歳未満の扶養親族を有する場合、(3)特別障害者である同一生計配偶者又は扶養親族を有する場合、を言います。

 

2 基礎控除

2020年より基礎控除の額が38万円から48万円へ10万円引き上げられます。

また、これまで基礎控除は一律で38万円の控除が認められてきましたが、合計所得金額が2,400万円を超える方から段階的に減少していき、合計所得金額が2,500万円を超える方は0円となります。

住民税も同様に基礎控除額が変更になります。

 

まとめると以下の表の通りとなります。

合計所得金額 所得税 住民税
改正前 改正後 改正前 改正後
2,400万円以下 38万円 48万円 33万円 43万円
2,400万円超2,450万円以下 32万円 29万円
2,450万円超2,500万円以下 16万円 15万円
2,500万円超 0円 0円

 

また、これに合わせて配偶者控除、扶養控除の要件も変わります

改正前は配偶者や被扶養者の合計所得金額が38万円以下であることが要件となっていましたが、改正後は10万円引き上げられ、48万円以下に変更になります。

 

配偶者特別控除については、合計所得金額ごとに控除額が変動しますが、こちらも同様に各段階の合計所得金額が10万円引き上げられます。

 

3 青色申告の特別控除

事業所得や不動産所得(事業的規模の方に限ります。)のある青色申告者については、複式簿記により記帳を行うことで、最高65万円の青色申告特別控除を受けることができます。

この65万円の特別控除について、2020年の所得税より、次のいずれかの要件を満たす場合に限定されました。

いずれの要件も満たさない場合、控除額が最高55万円に減少します。

(1)電磁的記録の備付及び保存をしている場合

(2)e-Taxにより電子申告をしている場合

 

(1)については、事前に税務署へ申請書を提出して、帳簿書類を紙ベースではなく電磁的記録により保存する方法であり、正直個人の方が行うにはそれなりの手間が掛かるものと思います。

(2)の電子申告をしているという要件については、会計事務所に申告を依頼されている方は満たす方が多いと思われます。弊社のお客様も全て電子申告に対応しておりますので、引き続き最大65万円の控除が可能です。

 

ご自身で申告書を提出される場合でも、最近は電子申告を行いやすいように整備されてきていますので是非ご検討下さい。

 

4 影響まとめ

最後に、今回の改正を受けてどのような方に影響があるのかをまとめたいと思います。

 

(1)子育て・介護世帯の給与所得者

給与所得控除は減少しますが、基礎控除は増加する為、基本的に影響はありません。但し合計所得金額が2,400万円を超えてくると基礎控除が減少するため増税になります。

 

(2)子育て・介護世帯以外の給与所得者

給与収入850万円以下の場合は影響ありません。給与収入850万円を超える場合は、給与所得控除が195万円で頭打ちになりますので増税になります。

また、合計所得金額が2,400万円を超えてくると基礎控除も減少しますので、更に増税になります。

 

(3)事業所得や不動産所得がある方

給与所得がなく、事業所得や不動産所得がある方は、基礎控除が増加しますので減税になります。

但し、合計所得金額が2,400万円を超えると基礎控除が減少しますので、利益次第では増税になる可能性もあります。

また、65万円の青色申告特別控除の適用を受けられている方は、引き続き控除が取れる要件に該当するかの確認を忘れないようにして下さい。要件を満たさないと控除額が減る関係で増税になります。

給与所得に加えて事業所得や不動産所得等がある方は、給与所得控除が減少になる為、減税にはなりません。改正前と比較して、影響が出ないか、増税になるかは(1)(2)と同様です。


新型コロナ関連の財務支援策一覧!【2020年5月10日時点】

こんにちは。

税理士の山田と申します。

 

2020年5月10日時点での財務支援策の一覧を出来る限りシンプルにまとめました。お役立て頂ければ幸いです。

 

ご覧頂くにあたって下記の注意点をご確認ください。

※ この表は制度の正確性を担保するものではなく、あくまで国の支援策の概要を把握するために、一覧にまとめたものです。

※ 2020年5月10日時点の情報をまとめたものですので、今後に制度変更がされる可能性があります。

※ 優先度はAが優先度高い、Cが優先度低い。難易度はAが難易度高い、Cが難易度低い。という意味です。こちらは完全な主観での評価になります。

 

新型コロナ関連 財務支援策一覧20200510(FROMDESIGN)

 

 

①持続化給付金

優先度                A

難易度                C

種類                    助成

受付                    中小企業庁 電子申請のみ

受付期間            令和2年5月1日(金)から令和3年1月15日(金)まで

対象者                資本金10億円未満の法人 個人事業主

要件                    2020年1月-12月のいずれかの期間で

                            単月売上が前年比50%以下となる(各種特例あり)

金額・優遇      法人200万円、個人100万円を上限で支給

参考URL          https://www.jizokuka-kyufu.jp/

備考                    要件については各種特例があるので、『申請要領』を確認

 

②東京都感染拡大防止協力金

優先度                A

難易度                C

種類                    助成

受付                    東京都電子・郵送・持参

受付期間            令和2年4月22日(水)から同年6月15日(月)まで

対象者                中小企業及び個人事業主など

要件                    令和2年4月16日から令和2年5月6日までの

                            全ての期間において、休業等を行うこと

金額・優遇      50万円~100万円を支給

参考URL          https://www.tokyo-kyugyo.com/

備考                    休業等の要請がされている業種のみが申請可

                            二次予算についても審議中で追加支給可能性有

 

③特別家賃支援給付金(仮)

優先度                A

難易度                C

種類                    助成

受付                    未定

受付期間            未定

対象者                中小企業及び個人事業主など(予定)

要件                    3カ月間の売上が前年比で3割以上減少、

                            又は、単月売上が前年比で50%以上減少

金額・優遇     半年分家賃の3分の2を助成(予定)

参考URL         未定

備考                第二次補正予算で審議中、詳細は未定

                           法人は月額50万円上限

                          個人事業主は月額25万円上限

 

④新型コロナウイルス感染症特別貸付

優先度                B

難易度                B

種類                    借入

受付                    日本政策金融公庫 受付のみ電子あり

受付期間            当面

対象者                企業全般

要件                    最近1ヵ月の売上高が前年又は前々年の同期と

                            比較して5%以上減少(比較時期は特例あり)

金額・優遇      無担保6,000万円限度で融資

参考URL          https://www.jfc.go.jp/n/finance/saftynet/covid_19.html

備考                     融資可否は審査次第 中小企業事業は上限3億円

                            返済期間 15年以内(うち据置期間5年以内)

                            金利は1.36%ベースで当初3年間はほぼ無利子

 

⑤マル経融資(小規模事業者経営改善資金)

優先度                B

難易度                B

種類                    借入

受付                    商工会・商工会議所経由で日本政策金融公庫

受付期間            当面

対象者                小規模事業者

要件                    最近1ヵ月の売上高が前年又は前々年の同期と

                            比較して5%以上減少(比較時期は特例あり)

金額・優遇      無担保無保証1,000万円限度で融資

参考URL          https://www.jfc.go.jp/n/finance/saftynet/covid_19.html

備考                    融資可否は審査次第

                            金利は1.21%ベースで当初3年間は0.31%

 

⑥経営環境変化対応資金(セーフティネット貸付)

優先度                B

難易度                B

種類                    借入

受付                    日本政策金融公庫 受付のみ電子あり

受付期間            当面

対象者                企業全般

要件                    コロナの影響を受けていること

金額・優遇      4,800万円限度で融資

参考URL          https://www.jfc.go.jp/n/finance/saftynet/covid_19.html

備考                    融資可否は審査次第 金利は2.16%程度

                            実質的にほぼ要件無で申請可

 

⑦セーフティーネット4号

優先度                B

難易度                A

種類                    借入

受付                    自治体で認定後に金融機関経由で保証協会審査

受付期間            当面

対象者                同一区で1年間以上継続して事業を行う中小企業者

要件                    最近1か月間の売上高等が前年同月比20%以上減少、

                            かつ、今後3か月間の売上高等が前年同期比20%以上減少する見込

金額・優遇      無担保無保証で2000万円限度で融資

参考URL          https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/sefu_net_gaiyou.html

備考                    審査は保証協会と金融機関で審査

                            5/1より金融機関のワンストップ手続き開始

                            一定の場合には、無利子・保証料もゼロ又は1/2

 

⑧セーフティーネット5号

優先度                B

難易度                A

種類                    借入

受付                    自治体で認定後に金融機関経由で保証協会審査

受付期間            当面

対象者                5/1から全業種が対象

要件                    最近3か月間の売上高等が前年同期比で5%以上減少。

金額・優遇      無担保無保証で2000万円限度で融資

参考URL          https://www.chusho.meti.go.jp/kinyu/sefu_net_gaiyou.htm

備考                    審査は保証協会と金融機関で審査

                            5/1より金融機関のワンストップ手続き開始

                            一定の場合には、無利子・保証料もゼロ又は1/2

 

⑨自治体ごとのコロナ対策融資(墨田区の例)

優先度                B

難易度                A

種類                    借入

受付                    自治体で認定後に金融機関経由で保証協会審査

受付期間            令和2年3月4日から6月30日まで

対象者                同一区で1年間以上継続して事業を行う中小企業者

要件                    最近1か月の売上高が前年同月比で5%以上減少、かつ、

                            最近1か月と今後2か月を含む売上高の見込みが5%以上減少する見込

金額・優遇      無担保無保証で1000万円限度で融資

参考URL          https://www.city.sumida.lg.jp/smph/sangyo_matidukuri/sangyo/yuusi/ta60100020.html

備考                    審査は保証協会と金融機関で審査

                            金利は自己負担0.2%、保証料は全額補助

 

⑩特例納税猶予(国税)

優先度                C

難易度                C

種類                    猶予

受付                    国税庁

受付期間            令和2年2月1日から令和3年1月31日まで

対象者                企業全般

要件                    令和2年2月以降の任意の1か月以上で、

                            売上が前期比おおむね20%以上減少、

                            かつ、国税を一時に納付する資金がないこと

金額・優遇      納付期限から1年間は延滞無

参考URL          https://www.nta.go.jp/taxes/nozei/nofu_konnan.htm

備考                    原則は納期限までに手続きだが、

                            6月30日までは納期限後であっても申請可

 

⑪特例納税猶予(社会保険料)

優先度                C

難易度                C

種類                    猶予

受付                    日本年金機構

受付期間            令和2年2月1日から令和3年1月31日まで

対象者                企業全般

要件                    令和2年2月以降の任意の1か月以上で、

                            売上が前期比おおむね20%以上減少、

                            かつ、保険料を一時に納付する資金がないこと

金額・優遇      納付期限から1年間は延滞無

参考URL          https://www.nenkin.go.jp/oshirase/topics/2020/20200501.html

備考                    原則は指定期限(納期限の25日後)までに手続きだが、

                            6月30日までは指定期限後であっても申請可


新型コロナウイルス感染症に関する申告期限の延長について徹底解説!!

こんにちは。

税理士の山田です。

 

この度の新型コロナウイルスの影響で多大な被害が出ております。

まずは、実際に被害に遭われている方にお見舞いを申し上げます。

 

今回の新型コロナウイルスの対策について国税庁は柔軟な対応をしてくれています。国税庁のHPにてQAが公表されていますが、こちらを紐解いて見ようと思います。

今回は条文などをベースにした解説で、解りやすさよりも根拠を重視していますので、どちらかというと同業者の方向けの内容となりますので、解り難さにはご了承ください。

 

国税庁よりFAQ公開

 

現状、新型コロナウイルスに関連した申告期限の延長について、下記の3件のFAQが公表されています。

国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ(PDF/1,252KB)

申告所得税、贈与税及び個人事業者の消費税の申告・納付期限の個別指定による期限延長手続に関するFAQ(PDF/708KB)

法人税及び地方法人税並びに法人の消費税の申告・納付期限と源泉所得税の納付期限の個別指定による期限延長手続に関するFAQ(PDF/846KB)

 

上記のFAQでは個人や法人の確定申告について個別延長を認めます、という旨の記載があります。

 

どのような場合に個別延長が認められるか?

 

FAQでは、具体的には下記のような場合に個別延長が認められる、とあります。

○ 新型コロナウイルス感染症の影響により、法人がその期限までに申告・納付ができないやむを得ない理由がある場合には、申請していただくことにより期限の個別延長が認められます。

○ このやむを得ない理由については、例えば、法人の役員や従業員等が新型コロナウイルス感染症に感染したようなケースだけでなく、次のような方々がいることにより通常の業務体制が維持できないことや、事業活動を縮小せざるを得ないこと、取引先や関係会社においても感染症による影響が生じていることなどにより決算作業が間に合わず、期限までに申告が困難なケースなども該当することになります。

① 体調不良により外出を控えている方がいること

② 平日の在宅勤務を要請している自治体にお住いの方がいること

③ 感染拡大防止のため企業の勧奨により在宅勤務等をしている方がいること

④ 感染拡大防止のため外出を控えている方がいること

○ また、上記のような理由以外であっても、感染症の影響を受けて申告・納付期限までに申告・納付が困難な場合には、個別に申告・納付期限の延長が認められます。

〇 新型コロナウイルス感染症に感染した⽅はもとより、体調不良により外出を控えている⽅や、平⽇の在宅勤務を要請している⾃治体にお住まいの⽅、感染拡⼤により外出を控えている⽅など、新型コロナウイルス感染症の影響により、確定申告会場にお越しいただくことが困難な⽅や、申告書を作成することが困難な⽅については、個別に申告期限延⻑の取扱いをすることとしています。

 

非常に幅広い書き方がされておりますので、実際のところでは緊急事態宣言が発令されているエリアに本店を構えている会社や住所がある個人については、ほぼ個別延長が認められるのではないかと思われます。

 

個別延長とは何か?

 

また、今回の個別延長は国税通則法 11 条、国税通則法施行令3条3項、4項の規定に基づく延長となります。

少し前に個人の所得税・贈与税・消費税の申告期限が一律で4月16日まで延長されましたが、これは国税通則法 11 条、国税通則法施行令3条1項の規定に基づく延長で、個別ではなく、国税庁がエリアなどを指定して延長を決めるものになります。

 

条文を整理します。

国税通則法第11条  災害等による期限の延長

国税庁長官、国税不服審判所長、国税局長、税務署長又は税関長は、災害その他やむを得ない理由により、国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出その他書類の提出、納付又は徴収に関する期限までにこれらの行為をすることができないと認めるときは、政令で定めるところにより、その理由のやんだ日から2月以内に限り、当該期限を延長することができる。

国税通則法施行令第3条  災害等による期限の延長

1 国税庁長官は、都道府県の全部又は一部にわたり災害その他やむを得ない理由により、法第11条(災害等による期限の延長)に規定する期限までに同条に規定する行為をすることができないと認める場合には、地域及び期日を指定して当該期限を延長するものとする。

3 国税庁長官、国税不服審判所長、国税局長、税務署長又は税関長は、災害その他やむを得ない理由により、法第11条に規定する期限までに同条に規定する行為をすることができないと認める場合には、前2項の規定の適用がある場合を除き、当該行為をすべき者の申請により、期日を指定して当該期限を延長するものとする。

4 前項の申請は、法第11条に規定する理由がやんだ後相当の期間内に、その理由を記載した書面でしなければならない。

 

本来は納税者の申請に基づいて延長の処分を決めるのですが、今回はFAQにて『別途、申請書等を提出していただく必要はなく、申告書の余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」である旨を付記していただくこととしております』と案内があります。

 

具体的な記載の方法については、FAQを確認してください。

 

納付期限も全て延長されているのか?利子税・加算税は?

 

FAQにおいて『この場合、申告期限及び納付期限は原則として申告書等の提出日となります。』と記載があります。上記のように申告書に延長申請の旨を記載して提出すると、申告書の提出日が納付期限となります。

 

ここで気になってくるのが、利子税と加算税の取扱いです。とくに、法人税の申告期限の延長の場合などは申告期限内であっても利子税が掛かりますが今回はどうなのでしょうか。

 

まず、延滞税・利子税について条文を確認してみましょう。

国税通則法第63条  納税の猶予等の場合の延滞税の免除

2 第11条(期限の延長)の規定により国税の納期限を延長した場合には、その国税に係る延滞税のうちその延長をした期間に対応する部分の金額は、免除する。

国税通則法第64条  利子税

3 第60条第4項、第61条第2項(延滞税の額の計算の基礎となる期間の特例)、第62条(一部納付が行われた場合の延滞税の額の計算等)並びに前条第2項及び第6項の規定は、利子税について準用する。

 

つまり、国税通則法11条に基づく期限の延長ですので、利子税や延滞税は掛からないということです。ただし、申告書の提出日が納付期限となりますのでそれ以降については延滞税・利子税がかかる点は注意してください。

なお、現在(4月12日時点で)国会で審議中の延滞税免除による納税猶予が可決されれれば、この辺りは関係なく延滞税が掛からなくなる見込みです。

いわゆる通常の法人税の延長申請は、法人税法の規定に基づく期限の延長ですので、その場合には利子税が掛かりますが、国税通則法11条は別の規定となります。

 

続いて、加算税についてみて見ましょう。加算税については、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税と種類がたくさんありますが、過少申告加算税、無申告加算税について今回は当てはまらないので除外します。

 

不納付加算税について条文を確認します。

第67条  不納付加算税

源泉徴収等による国税がその法定納期限までに完納されなかつた場合には、税務署長又は税関長は、当該納税者から、納税の告知(第36条第1項(納税の告知)の規定による納税の告知(同項第2号に係るものに限る。)をいう。次項において同じ。)に係る税額又はその法定納期限後に当該告知を受けることなく納付された税額に100分の10の割合を乗じて計算した金額に相当する不納付加算税を徴収する。ただし、当該告知又は納付に係る国税を法定納期限までに納付しなかつたことについて正当な理由があると認められる場合は、この限りでない。

 

また、法定納期限とはどういう定義か?これは国税徴収法基本通達に記載があります。

(国税を納付すべき期限)

14 法第2条第10号本文の「国税に関する法律の規定により国税を納付すべき期限」については、次のことに留意する。

(1)通則法第11条《災害等による期限の延長》の規定により国税の法定納期限が延長された場合には、その延長された期限が法定納期限となる。

 

つまり、通則法11条の延長がされるとこれが法定納期限ということになりますから、源泉所得税の不納付加算税も掛からないものと思われます。


災害により損害を受けたときの所得税の軽減措置とは!?【雑損控除~ポイント編~】

こんにちは。

税理士の山田です。

 

いよいよ2019年度の確定申告の時期となりました。

昨年は台風15号と19号で被害を受けられた方が多くいらっしゃるかと思います。

そのような方のために、以前に雑損控除の制度概要についてまとめました。

まず、そもそも雑損控除とはどのような制度なのか、下記の記事をご覧になって概要を抑えて下さい。

 

災害により損害を受けたときの所得税の軽減措置とは!?【雑損控除~制度概要~】

 

今回はもう一歩踏み込んで、雑損控除の適用にあたり、不利益な処理をしてしまわないように特に重要なポイントを整理します。

雑損控除は非常に複雑な制度でして、グレーな範囲も多い制度ですので、税務署の方に任せるだけではなく、ご自身で是非ポイントは抑えておいてください。

 

ポイント① 雑損控除の申告はいつまで出来るか?

まずは、そもそも雑損控除の申告はいつまで行うことが出来るのでしょうか?

実は、還付申告や更正の請求という手続きを行うことで、5年前まで遡って手続きを行うことが出来ます。

具体的には、申告期限から5年間は手続きが出来ます。つまり、2014年度以降の更正の請求であれば、2020年の3月15日(還付申告の場合には、2020年1月1日)までの間に手続きをすることで、雑損控除の適用を受けることが出来ます。

 

なお、一度も確定申告を行っていない年度の申告をする場合には、期限後申告という手続きになり、一度確定申告を行った年度について雑損控除の適用をする場合には、更正の請求という手続きになります。

過去の雑損控除が出来たのに、手続きをしていなかったという方がいらっしゃればまだチャンスがあるかもしれないので、是非確認してみてください。

ただし、雑損控除の繰越控除については連続して確定申告をすることが要件となっており、一度でも申告をしてしまっていると、適用が受けられない可能性があります。

 

ポイント② 損失額の計算方法を抑える~特に家財に注意!~

雑損控除の損失額の計算は大まかにいうと『資産の時価 × 被害割合』で計算します。まずはこの資産の時価の考え方を抑えましょう。

時価の計算方法は、『住宅』『家財』『車両』でそれぞれ異なるとともに、『取得価額が明らかな場合』『取得価額が明らかでない場合』で異なります。

特に家財の計算方法は取得価額が明らかであるか、そうでないか、によって大きく異なります。また、家財の取得価額が明らかでない場合には、下記の表に当てはめて計算をすることになります。

上記に当てはめてみると解りますが、40歳以上の夫婦であれば、家財の時価が1000万円を超えてきます。これだけの家財を持っていらっしゃるご家庭をそうそうないのではないでしょうか?しかも、この金額は減価償却をした後の金額となります。

また、実際にご自宅の家財をいつ頃にいくらで購入したか、という情報を残していらっしゃる方はほとんどいないのではないでしょうか?

家財の情報は解らなければ上記の有利な計算をすることが出来ます。その点を踏まえて是非計算をしてみてくださいませ。

 

ポイント③ 被害割合の考え方を抑える~割合の合算とは?~

まず、国税庁が公表している被害割合の表を見てポイントを抑えましょう。表は下記の通りです。

被害割合の判定とり災証明書

上記の被害割合の判定にあたっては、『り災証明書』を参考にして行うことになっていますが、これはあくまで参考にするだけで、り災証明書の被害区分とは必ずしも一致しないことになります。

これは国税庁が公表している下記の資料にも明記してあります。

東日本大震災により損害を受けた場合の所得税の取扱い

第2 雑損控除(共通)

23 「り災証明書」の必要性

問 雑損控除による還付申告書を提出するに当たって、「り災証明書」のような被害を証明する書類の提出は必要ですか。

「り災証明書」は、大震災により家屋に被害を受けた場合、その被害を受けた方が市区町村に被害の状況を申告した後、その市区町村がその状況を確認した上で発行されるものです。
この証明書には、例えば、り災害原因や、全壊や半壊などの家屋についての被害状況等が表示されていることから、損失額の合理的な計算方法の被害割合を判定する際の目安になるものです。
したがって、税務署では、申告書等を提出する際に「り災証明書」(コピーでも可)を添付していただくか、又は提示していただくよう、お願いしているところです。
しかし、津波による被害を受け、その方の住所地などから地域全域の建物等が全壊するなどその被害の規模や状況が明らかな場合にはご提示いただかなくても差し支えありません。
また、個々の事情により証明書を添付又は提示ができない場合には、被害の実情を十分お聞きした上で被害状況を判断することとしています。
(注) り災証明書に記載される被害の程度(証明内容)と損失額の合理的な計算方法における「被害区分」は一致するものではないことに留意が必要です。
例えば、液状化被害の認定は、一般的に家屋の傾斜や基礎等の地盤面下への潜り込みの状況を基に行われますが、家屋に係る損失額の合理的な計算方法は、その家屋の主要構造部に損壊がある場合に利用できます。また、この計算における被害区分の判定においても、その被害の状況を十分お聴きして判断することになります。

損壊で言うと、『一部損壊』で被害割合5%、『半壊』で被害割合50%と大きく異なります。り災証明書の区分が一部損壊となっていても、上記表の半壊摘要欄の状況に合致しているようであれば、写真などの根拠資料を集めて、税務署に相談してみましょう。

 

被害割合の合算

これもあまり知られていないことですが、上記表の損壊と浸水の被害割合はいずれか片方を当てはめるのではなく、両方該当する場合には、両方の被害割合を合算することが出来ます。

こちらについても国税庁が公表している下記の資料に明記してあります。

東日本大震災により損害を受けた場合の所得税の取扱い

第3 雑損控除における損失額の合理的な計算方法

21 被害割合の考え方(損壊+浸水の場合)

問 住宅の一部が津波により損壊した上、浸水(床上 30 ㎝・二階建住宅)しました。この場合、被害割合はどのように計算しますか。
(答)
被害の種類ごとに被害割合を加算していくため、一部損壊した上、海水による浸水(床上 30 ㎝・二階建住宅)した場合は、

一部破損(5%) + 床上 50 ㎝未満・二階建住宅(35%) = 40%

となり、40%がその住宅の被害割合となります。
(注) 24 時間以上の長期浸水の場合は、その割合にさらに 15%を加算した割合となります。

上記のように被害割合の考え方は非常に複雑です。税務署でもわかっていない可能性が考えられますが、国税庁が公表している情報であれば、税務署でもその通りに処理しなければいけないはずです。

上記で引用している国税庁の資料は下記のリンクより見ることが出来ますので、是非参考にしてみてください。

東日本大震災により損害を受けた場合の所得税の取扱い

ポイント④ 雑損控除の適用は自分の家でなくても大丈夫!

これが一番最後のポイントです。

ご自身が被害を受けていないから関係ないと思っていらっしゃる方がいたら気を付けてください。

雑損控除は自分でなくても、同一生計の親族が被害に遭われていれば、適用をすることが出来ます。

では、同一生計の親族とは、①総所得金額等が38万円以下(令和元年のケース)である、②生計を一にする親族、を指します。特に②の生計を一にする、とは下記のことを言います。

日常の生活の資を共にすることをいいます。
会社員、公務員などが勤務の都合により家族と別居している又は親族が修学、療養などのために別居している場合でも、1生活費、学資金又は療養費などを常に送金しているときや、2日常の起居を共にしていない親族が、勤務、修学等の余暇には他の親族のもとで起居を共にしているときは、「生計を一にする」ものとして取り扱われます。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/shinkoku/tebiki2017/a/03/order3/yogo/3-3_y03.htm

つまり、両親に対して仕送りをしているケースは同一生計親族に当てはまる可能性があります。

ということは、仕送りをしているご両親が今回の台風の被害に遭われていて、なおかつ年金生活をされているケースですと、同一生計親族にあたる可能性が非常に高くなります。

その場合には、税務署または顧問の税理士の方に相談して見てください。

 

最後に

今回は雑損控除の適用に当たって特に重要と思われるポイントを重点的に説明しました。

雑損控除の申告は、専門家である税理士でも滅多に行うことはありません。

実際に私も雑損控除の申告をしたことは一度もありません。

今回の災害で被害に遭われた方々に少しでも支援になればと思い、制度のポイントを整理してみました。

この内容が少しでも多くの方の目に触れて、制度を有効に活用できる方が増えることを祈っております。


災害により損害を受けたときの所得税の軽減措置とは!?【雑損控除~制度概要~】

こんにちは。

税理士の山田です。

 

台風15号及び19号による被害は甚大なものがありました。

被害を受けてしまった方々に心からお見舞い申し上げます。

 

また、災害によりご自宅などに損害を受けた方は多いかと思いますが、その場合については、所得税の軽減措置があります。

制度としては少し複雑なものとなりますが、まとめていきたいと思います。

ご自宅などの被害に遭われた方の一助になれば幸いです。

 

さて、地震・火災・風水害などによって、住宅や家財などに損害を受けたときは、

確定申告で下記のいずれかの方法で所得税の軽減を受けることが出来ます。

 

Ⅰ「所得税法」による雑損控除による方法

Ⅱ「災害減免法」による所得税の軽減免除による方法

 

どちらか有利な方法を選ぶことが出来ますので、それぞれどのような制度なのか整理していきたいと思います。

1 制度概要

まず、それぞれの制度の概要を表に整理します。

Ⅰ「所得税法」による雑損控除による方法

項目 内容
損失の発生原因 災害盗難横領による損失
対象となる資産の範囲等 住宅家財(家具、家電、什器、衣類、書籍、現金など)車両等で生活に通常必要な資産

※対象にならないもの・・・棚卸資産や事業用の固定資産、生活に通常必要でない資産(高級車、別荘、ゴルフ会員権、1個で30万円を超える貴金属・書画・骨とう等)

控除額の計算 控除額は次のAとBのうち、いずれか多い方の金額です。

A 差引損失額-総所得金額等の10分の1

B 差引損失額のうちの災害関連支出の金額-5万円

控除の期間 3年間の繰越控除が可能

 

Ⅱ「災害減免法」による所得税の軽減免除による方法

項目 内容
損失の発生原因 災害による損失(盗難・横領は×)
対象となる資産の範囲等 住宅又は家財の損失額(※1)が、その価額の2分の1以上である場合
所得税等の軽減額 その年分の所得金額 所得税等の軽減額
500万円以下 全額免除
500万円超750万円以下 2分の1の軽減
750万円超1,000万円以下 4分の1の軽減
控除の期間 被害を受けた年のみで控除が可能

 

どちらの制度を使うのが有利かは非常に判定が難しいですので、どちらも当てはめて計算してみて有利となる方で申告をしましょう。

 

2 「差引損失額」「災害関連支出の金額」とは

(1)「差引損失額」の計算方法

「差引損失額」とは下記の算式で求めます。

差引損失額

= 損害金額※1 + 災害等に関連した
やむを得ない支出の金額※2

保険金などにより
補てんされる金額※3

 

※1 「損害金額」とは、損害を受けた直前におけるその資産の時価を基にして計算した損害の額です。計算方法については、次の(2)で詳しく説明していきます。

※2 「災害等に関連したやむを得ない支出の金額」とは、災害の場合にはほとんど「災害関連支出の金額」とイコールと考えてください。

※3 「保険金などにより補てんされる金額」とは、災害などに関して受け取った保険金・災害見舞金・損害賠償金の合計額です。

 

(2)「損害金額」

損害金額の計算は下記の区分に応じて計算します。

① 住宅に対する損失額の計算

A 住宅の取得価額が明らかな場合

損失額(注1、2) =(住宅の取得価額 - 減価償却費) × 被害割合※

B 住宅の取得価額が明らかでない場合

損失額 =〔(1m2当たりの工事費用※ × 総床面積)- 減価償却費〕 × 被害割合※

② 家財に対する損失額の計算

A 家財の取得価額が明らかな場合

損失額 = (家財の取得価額 - 減価償却費) × 被害割合※

B 家財の取得価額が明らかでない場合

損失額 = 家族構成別家庭用財産評価額※ × 被害割合※

③ 車両に対する損失額の計算

損失額 = (車両の取得価額 - 減価償却費 )× 被害割合※

 

下記の国税庁HPにてそれぞれの別表情報を公表しています。

https://www.nta.go.jp/about/organization/tokyo/topics/sonshitsu/index.htm

別表1 地域別・構造別の工事費用表(1平方メートル当たり)
別表2 家族構成別家財評価額
別表3 被害割合表

 

非常に複雑な計算となりますが、諦めずにチャレンジしましょう。

判断に迷う部分についても所轄の税務署にも相談しながら進めて下さい。

 

(3)「災害関連支出の金額」

災害関連支出は、災害に関連してやむを得ない支出をいい、次のようなものが該当します。

① 被災した資産の取り壊し・除去のための支出

・住宅、家財などの取り壊し・除去

② 被災した資産を使用できるようにするための支出で災害後1年以内(大規模な災害の場合には3年以内)に支出したもの

・土砂その他の障害物を除去するための支出

・原状回復のための支出(損失部分の金額を除く)

・損壊又は価値の減少を防止するための支出

③ 被害の拡大又は発生を防止するため緊急に必要な措置を講ずるための支出

・倒壊する恐れがある住宅からの家具の搬出

・家屋の倒壊を防止するための雪下ろし

 

3 どのように確定申告の準備をすべきか?

色々と複雑な説明を続けましたが、まずすぐに準備出来ることは何か?

そんな視点で内容をまとめてみましたので、参考にしてみてください。

 

(1)罹災(被災)証明書の取得

まず前提として罹災証明書の取得は必須ではありません。

なので、仮に罹災証明書が無かったとしても諦めないでください。

ただ、罹災証明書があることによって税金の還付手続きもスムーズに進められる可能性が高いです。

可能な限り証明書の取得申請をしておきましょう。

 

罹災証明書の申請はお住いの市区町村に対して行います。

その際には『現場の被害状況が解る写真など』があると手続きがスムーズに進みますので、準備しておきましょう。

 

(2)被害を受けた資産の取得時の情報を把握

損害額の計算にあたって、被害を受けた資産の取得時の情報、つまり、資産内容、取得時期、取得価額が解るとベターです。

ただし、情報が無かったとしても『取得価額が明らかでない場合』の計算方法を上記国税庁のHPにて記してくれています。

諦めずに計算してみましょう。

 

(3)被害を受けた資産の取得時の情報を把握

後は実は確定申告にあたって提出が必須となる書類は『災害関連支出の金額の領収証と明細』のみとなります。

ただし、(1)(2)にも記載の通り下記の書類があると、手続きがスムーズに進められますので参考にしてください。

 

・被害を受けた資産の明細(内容、取得時期、取得金額)が解るもの

・保険金、損害保険金、災害見舞金があれば、その金額が分かるもの

・市町村から交付を受けた罹災(被災)証明書の写し

・その他源泉徴収票などの通常の確定申告で必要な書類

 

4 最後に

災害により損害を受けたときの所得税の軽減措置についてまとめてみました。制度としては、非常に複雑なものとなりますので、出来る限り正確かつシンプルに整理しました。

それでも中々すぐに見て解る説明ではないと思いますが、特に『3どのように確定申告の準備をすべきか?』について準備を進めて最後は税務署に相談しましょう。

 

どこまでの情報でどこまで税金の還付が受けられるか最終的な判断は税務署で行います。

税務署の職員は優しい方も多いですし親身になって対応してくれます。

 

『税金を徴収する怖い人』というのは過去のイメージですので、気軽に問い合わせて見てください。

雑損控除は災害による被害を受けた方の優遇制度として設けられた制度です。

ちゃんと制度を使うことが出来る多くの方々が、適正に制度の適用を受けられることを祈っています。


【最新情報】来年度の補助金動向が発表!!

こんにちは。

税理士の山田です。

 

今後の国の経済政策が閣議決定されました!補助金の動向についても記載があります!

http://www5.cao.go.jp/keizai1/package/20171208_package.pdf

 

我々の業界としては税制改正大綱の発表が待ち遠しい時期ですが、

同時に国会の予算発表も気になるところです。

これは今後の補助金の動向を大きく左右するからです。

 

今回発表された新しい経済政策においても、17ページに以下のような記載があります。

・「ものづくり・商業・サービス補助金」等の予算措置を拡充・重点支援する。

・3年間で全中小企業・小規模事業者の約3割に当たる約100 万社のITツール導入促進を目指す。

 

つまり、『ものづくり補助金』『IT導入補助金』はほぼ間違いなく拡充されます。

 

※ものづくり補助金の内容はこちらを参考にしてください。(前年度の内容です。)

※IT導入補助金の内容はこちらを参考にしてください。(前年度の内容です。)

 

募集開始時期としては年明け早ければ1月から、通常であれば2月頃からが想定されます。

特に、国の現在の方向性としては『生産性向上』をテーマにしており、

その根幹となる法認定が『経営力向上計画』というものです。

 

年明けからは『経営力向上計画』の募集殺到が想定されます。

間に合わなくなることのないように、早い段階で準備を進めましょう!


平成27年度補正予算ものづくり補助金の申請数が過去最多!追加募集も?

こんにちは。

税理士の山田です。

ものづくり補助金の申請数が過去最多というニュースが発表されました。

http://newswitch.jp/p/4710

 

ですが、ものづくり補助金のせいで買い控えが生じているというのも本末転倒です。

 補助金は審査が完了し、交付決定という手続きが完了するまで設備の発注が出来ないからです。

 

そのため採択待ちで買い控えが生じてます。昨年でいうと、発注ができる時期が年末頃になっていました。

ですが、今年はまだスピーディーに対応していため、ある情報では6月3日に採択の発表がされ、

交付決定は早ければ6月末頃になりそうです。(交付決定は早い者勝ちなので、遅い会社は9月にもかかるでしょう。)

また、今年度のものづくり補助金は1回の募集のみという予定でしたが、

震災の影響等もあり次回の募集があり得てきました。(非公式情報です)

 

これから設備投資を考えている企業は情報を漏らさないように注意しましょう。


税理士が紐解くパナマ文書!タックスヘイブンとは?

こんにちは。

税理士の山田です。

 

久しぶりの投稿となりましたが、本日はパナマ文書について書いてみようと思います。

 

パナマ文書とはモサック・フォンセカという法律事務所によって作成された一連の機密文書であり、

オフショア金融センターを利用する21万4000社の企業の、株主や取締役などの詳細な情報記されている、と報道されています。

 

要は世界の金持ちや有名企業が税金を課税されないように、秘匿性が高い国であったり、

税率が低い国にお金を預けており、その情報が流出してしまったということです。

ここでいう税率が低い国のことをタックスヘイブンという言い方をします。

 

この報道で脱税という言葉が使われているケースがありますが、これは脱税にあたるのでしょうか。

ここでは過去と未来という二つの視点で、検討をする必要があります。(あくまで日本の税制についての話です)

 

 

1 今までにタックスヘイブンで稼いできた資金は申告する必要があるか。(過去)

 

通常タックスヘイブンを利用するスキームでは現地に株式会社等を設立し、そこで資金の運用をします。

個人であっても法人であっても、日本の税法では全世界で発生した利益に対して税金が課税されます。

 

株式会社は法律上は会社ごとに人格が異なりますので、タックスヘイブンにある会社を日本の法律で課税することが出来ません。

そのため日本の税法ではタックスヘイブン対策税制という法律があります。

 

これは、①軽課税国(税率が20%未満)にある会社②日本からの出資割合が高い会社については

日本株主側でその分の利益を課税しますよ、という法律です。(これは株主が個人でも法人でも課税されます)

 

このような税制に対抗するために、日本の税制に合わせて税率を調整したり、

もしくは自分で税率を選択することができる国が存在したりもします。

もう一つの対策としては要件②の日本からの出資割合が高い会社がこの税制の対象になってしまうために、

現地の法人と共同して50%ずつの出資割合で法人を設立すると、税制の対象から除外されたりもします。

 

もう一つこの税制から逃れる手段として、適用除外要件というものがあります。

これは、①主要な事業が株式の保有等ではなく、②現地に事務所等の実態があって、

③その管理支配を現地でちゃんと行っていて、④ただの下請け会社でないようなケース

については上記のタックスヘイブン対策税制からの適用を受けない、つまり日本の税金は課税されません。

 

通常、大手の会社や富裕層がタックスヘイブンに法人を作る場合には、

上記の点をちゃんと踏まえた状態で法人を設立しますので、その場合には脱税行為にはあたりません。

(ただし、上記の適用除外要件をちゃんと満たすことが出来ず、後になって巨額の課税を受けるケースが実際にあります)

 

 

2 今後タックスヘイブンに貯めている資金をどうするか(未来)

 

日本では人が亡くなった場合には相続税という税金が課税されます。

これは海外に持っている財産も含めて、その方が持っていた財産全てに税金が課税されます。

 

パナマ文書で公開されたような方々の中には、海外にお金を預けてしまい、

亡くなったときには申告せずに隠してしまおうと目論んでいる方もいるかもしれません。これは明らかに脱税行為です。

 

このようなことを防ぐために、日本では海外に持ってい財産が5000万円以上の個人については、

毎年財産の内容を税務署に申告させるような制度が数年前から開始しました。

ただし、本件に関しても多額な海外資産を持っている方については実際には申告をしていないケースも多いでしょう。

この申告というのは、あくまで財産の内容を税務署に伝えるだけで税金が課税されるものではないからです。

 

この辺りについては、マイナンバー制度とも関連しますが、

どこまで個人情報を国に公表すべきなのかという議論もありますので割愛します。

 

いずれにせよ財産をタックスヘイブンに所有しているだけで脱税行為になるわけではなく、

合法にタックスヘイブンで運用をする方法もあるということです。

特に日本企業の子会社がタックスヘイブンにあるケースでは、そこで生まれた利益を日本に配当しても

ほとんど税金が課税されることがありませんので、合法に資金を日本に持ってくることも可能です。

 

ただし、この方法は一歩間違えるとタックスヘイブン対策税制という網引っ掛かり

過去に遡って多額の税金が課税される可能性もありますので注意が必要です。