その他税務 – 墨田区錦糸町の会計事務所。アンパサンド税理士法人

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電子帳簿保存法の改正~令和4年1月からこう変わる~

こんにちは。

税理士の大塚です。

電子帳簿保存法が令和4年1月1日より改正されます。

大きく分けると、「電子データ保存の要件が大幅に緩和される」「電子取引の紙出力での保存が認められなくなる」ということがポイントになります。

今回は改正される電子帳簿保存法の要点をまとめます。

 

1 保存方法の概要

区分ごとに認められる保存方法は下記の図の通りです。

改正前、電子取引については紙出力による保存が認められていましたが、改正後は電子データとして保存することが求められます。

2 区分1:電子的に作成した帳簿、請求書等の書類

対象となるのは、会計ソフトで作成している会計帳簿、請求管理ソフトで作成した自社発行の請求書などです。

元データがPC内に保存されているケースが該当します。

 

この場合、出力した紙で保存することが原則ですが、一定要件を満たせば電子データのまま保存することも認められます。

従来から電子データのまま保存する方法はありましたが、改正で要件が大幅に緩和されました。主な改正点は下記の通りです。

 

⑴税務署長への事前承認制度の廃止

 

⑵下記の3要件を満たす場合、電子データのまま保存が可能

①システム関係書類等の備付

②PC、ディスプレイ、プリンタ等を備え付け、画面・書面に整然とした形状及び明瞭な状態で速やかに出力できるようにしておくこと

③ダウンロードの求めに応じることができること

 

⑶優良な電子帳簿の要件を満たす場合は過少申告加算税が5%軽減される措置

事前に税務署へ届出書が必要となります。

事前承認制度がなくなり、最低限の要件で電子データのまま保存が可能になりましたので、従前よりも電子データのまま保存する企業が増加することが想定されます。

 

3 区分2:紙で受領・作成した請求書等の書類

対象となるのは、取引先から紙で受領した請求書、領収書、紙で取り交わした契約書、手書きで発行した請求書、領収書などです。

この場合、紙のまま保存することが原則ですが、一定要件を満たせばスキャンした上で電子データとして保存(スキャナ保存)することも認められます。

従来からスキャナ保存は認められていましたが、改正で要件が大幅に緩和されました。主な改正点は下記の通りです。

 

⑴税務署への事前承認制度の廃止

 

⑵タイムスタンプの付与期間が、最長約2か月と7営業日以内に延長

 

⑶受領者がスキャナで読み取る際の自署が不要

 

⑷タイムスタンプに代えて、訂正又は削除を行った場合に内容を確認できるクラウド等(訂正、削除ができないものを含む)での保存が可能

 

⑸検索要件の緩和 取引年月日、取引金額、取引先に限定

 

ダウンロードに応じられれば、範囲指定及び組み合わせ条件での検索は不要

 

⑹適正事務処理要件が廃止 相互けん制、定期的な検査等が不要

 

事前承認制度が廃止されたことに加え各要件も大幅に緩和されています。

改正前は受領者がスキャンする場合、タイムスタンプの付与期間が3営業日と非常に厳しいものでしたが、約2か月へ延長されます。

また、タイムスタンプに代えて、訂正又は削除の内容を確認できるシステム(訂正又は削除ができないものを含む)での保存が可能になりましたので、経費精算システムなどを利用されている企業は必然的に要件を満たしていくことも想定されます。

 

大きいのは適正事務処理要件が廃止されることです。

改正前は、スキャナした人と別の人による原本とデータの突合や、定期的に原本とデータを突合して不備がないか確認することが必要でした。

そのため、すぐに原本を廃棄することはできず、紙での保存も並行する必要がありました。

 

今回適正事務処理要件が廃止されることで、理論上はスキャナしてすぐに原本を廃棄することが可能となります。

但し、問題なくスキャンされているかの確認や、同じ領収書の使いまわしを防止するために原本の提出を求めるといった対応も考えられ、企業ごとに検討が必要と思われます。

 

出典:国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021005-038.pdf

 

4 区分3:電子取引

対象となるのは、紙を通さずに授受する電子データになります。請求書をメール添付して送受信するようなものや、ネットからダウンロードして証憑を入手するものが該当します。

電子で完結する取引を言いますので、メールで送った後に原本を紙で郵送を行うようなケースは電子取引には該当しません。

 

電子取引は、出力しての紙保存か電子データのまま保存かを選択できましたが、改正後は紙保存ができなくなり、電子データのまま保存することが求めれます。

 

電子データのまま保存する為には、「真実性の要件」と「可視性の要件」を満たす必要があります。検索機能など一部要件はスキャナ保存同様に緩和されています。

 

⑴真実性の要件

いずれか一つを満たす必要があります。

①タイムスタンプが付与されたデータを授受

②データ受領後、タイムスタンプを付与する

③訂正又は削除を行った場合に内容を確認できるシステム(訂正又は削除ができないシステムを含む)での授受及び保存

④「正当な理由がない訂正及び削除の防止に関する事務処理の規定」の策定、運用、備付

 

最も簡単に要件を満たすのは、④の規定を整備することにあります。国税庁に規定の例がありますので、作成する際にはこちらをご参照下さい。

国税庁 各種規定等のサンプル

 

⑵可視性の要件

全ての要件を満たす必要があります。

①システムの概要を記した書類の備付 ※自社開発プログラムを利用する場合に限る

②見読可能装置の備付 ※ディスプレイ、プリンタなどの備付が必要

③検索機能の備付 ※取引年月日、取引金額、取引先に限定

ダウンロードに応じられれば、範囲指定及び組み合わせ条件での検索は不要

 

問題となるのは検索機能の備付です。検索機能は、取引年月日、取引金額、取引先のそれぞれで検索できる必要があります。

 

文書管理システムなどを利用していれば要件を満たすことは難しくないと思われますが、特にシステムなどの利用がない場合は困難です。

 

但し、別途Excelで管理台帳のようなものを作成してこれらの検索項目を網羅する方法や、PDFなどのファイル名自体に取引年月日、取引金額、取引先を入れて保存するといった方法も認められています。

※以下出典:国税庁ホームページ(https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/pdf/0021006-031_03.pdf

 

5.まとめ

区分1の電子データのまま保存する方法、区分2のスキャナ保存については、従前の要件が大幅に緩和されたことにより使用しやすくなりました。

ただ、こちらは紙での保存も認められますので、企業の必要性に応じて検討すれば良い事項かと思います。

一方で、電子取引は紙保存が認められなくなりますので、企業として対応が必要になります。

実際のところ、税務署がどこまで確認又は指摘をしてくるのか分からない部分もありますが、対応できる準備を進めていくに越したことはありません。

改正全般の細かい要件などは下記の国税庁のQ&Aをご参照下さい。

国税庁 電子帳簿保存法Q&A(一問一答)


【社内勉強会②】固定資産の基本的な考え方と償却資産について学ぼう

こんにちは。

スタッフの大滝です。

梅雨の時期となり、蒸し暑い日々の中にも、夏の強い日差しを感じる日も増えてきましたね。

社内での私の座席は、冷房直下のベストポジションなので季節を問わず快適なのですが、ふと目の前にあるエアコンを見て、「業務用エアコンは固定資産かな。耐用年数は…。」と思う時があります。

会計業務に携わる方にはお馴染みの「固定資産」という用語ですが、日常生活では中々耳にしない言葉ではないでしょうか。

早速ですが、第2回は固定資産の基本的な考え方と償却資産について整理してまいります。

 

1 固定資産とは

固定資産とは、一言でまとめると「事業活動において1年を超えて使用する目的で保有する資産」と説明できます。

資産とは、会社が保有する財産を指します。

これだけでは、わかりにくいのでまずは《資産》を分類した図をご覧ください。

1年以内に換金できる流動資産に対し、1年を超えて所有する資産を固定資産と言います。

また、固定資産はさらに有形固定資産、無形固定資産、投資その他の資産に分類されます。

 

2 固定資産の管理方法

会社にとって固定資産は財産であり、経営を行う上で固定資産を正しく管理し、把握する必要があります。

自社が所有する固定資産の実態(どのくらいあるか、どのような状況か)を管理するための帳簿を「固定資産台帳」と言います。

 

固定資産台帳には、資産の種類、耐用年数、資産名称、取得年月日、取得価額、償却方法等を記載します。

決算の時には、固定資産の棚卸を行い、廃棄している物がないか確認します。

こちらの台帳は、総勘定元帳や現金出納帳などの会計帳簿、貸借対照表(B/S)や損益計算書(P/L)などの決算書類と同様に、税法上では7年、会社法では10年保存する必要がある、と定められています。

 

また最近では、パソコン等が低価格にあり、固定資産として管理されなくなってきました。

しかし、パソコンのスペック等を管理するために、パソコン管理台帳を作成している企業も増えてきています。

 

3 減価償却とその目的

固定資産の会計処理に必要不可欠なのが、「減価償却」という処理です。

 

減価とは、「購入時の値段から下がること」、

償却とは、「どのくらいでその価値がなくなるか」と言うことです。

 

事業で用いられる建物、器具備品、車両運搬具などの固定資産は、一般的には時の経過によってその価値が減っていくという考え方をします。

このような資産を、減価償却資産と言います。

一方で、土地や美術品等、時の経過により価値が減りにくい資産は減価償却資産とは言いません。

土地や美術品は、価値が上がる可能性がある為です。

 

では、価値の減少はどのように決めるのでしょうか。

例えば、会社ごとに「うちの車はまだ傷んでいないから10年で償却しよう!」、「最近パソコンの動きが悪くなってきたから2年で償却しようかな…」等と償却年数を勝手に決めることはできません。

 

そこで、価値が減少していく期間=法定耐用年数が償却資産ごとに定められています。

この考え方に基づいて、軽自動車を購入した例をご覧ください。

 

軽自動車を400万円で購入しました。購入にかかる金額のことを、「取得価額」と言います。

軽自動車の法定耐用年数は4年ですので、4年間で償却していきます。

今回は、定額法という償却方法の前提で考えます。

そうすると、400万円÷4年間で毎年100万円ずつを減価償却費で計上する処理になります。

 

通常、何か物品を購入した場合には、購入日に全額を費用計上しますが、

高額で1年を超えて所有する資産である固定資産も同じく取得した日に、全額を費用計上してしまうと、購入した年(1年目)に多額の費用が計上され、2年目以降は費用が計上できません。

 

それでは、会社の利益を正しく計算することが出来なくなり、適正な利益を把握することが難しくなります。

減価償却をする最も重要な目的は、適正に費用を配分し、毎年の正しい損益計算を行うことにあります。

 

4 定額法と定率法

先程の、400万円で購入した軽自動車の償却方法は、「定額法」を前提に計算しました。

減価償却の方法には、「定額法」「定率法」という計算方法があります。

 

定額法とは、文字通り、毎年同額を減価償却していく方法です。

一方、定率法とは、毎年残った金額(簿価)に同じ割合(定率)を乗じて減価償却していく方法です。

毎年同額を費用計上する定額法に対して、定率法では年々、減価償却費が減少していきます。

 

なお、どちらの方法でも費用となる総額は同じですが、法人の場合は、原則として、建物・建物付属設備・構築物・ソフトウェアの償却は定額法を用いることが決められていますが、一方で機械装置・車両運搬具・器具備品はどちらの償却方法を採用するか選択できます。

 

具体的な計算方法は、国税庁のホームページを参考にしてください。

参考:国税庁 タックスアンサー No.2106 定額法と定率法による減価償却(平成19年4月1日以後に取得する場合)

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2106.htm

 

5 償却資産税

 ここまで、固定資産と減価償却について整理してきました。ここでは、固定資産にかかる税金についても触れていきます。

 

土地や不動産を所有している方は、毎年、固定資産税を納付していると思いますが、不動産以外の固定資産で減価償却が必要なものには償却資産税がかかります。

償却資産税とは、減価償却の対象となる償却資産に対して課される固定資産税の一部です。

 

よって、具体的には、事業で使っているエアコン、冷蔵庫などの器具備品などが対象となります。

これらの償却資産を所有している場合、毎年1月1日時点の所有内容を、1月31日までに都税事務所に申告する必要があります。

 

償却資産税の税額は、所有資産の課税標準額に税率1.4%を掛けて算出しますが、課税標準額の合計が150万円未満の場合は、課税されません。

 

会計業界、そして経理業務に従事している方にとって、1月は繁忙期と言える時期ですね。

源泉所得税の納期特例、税務署への法定調書、各市区町村へ給与支払報告書等、各方面に提出する書類も多いですが、償却資産の申告も忘れずにタスクに入れておくことが重要ですね。

 

6 金額ごとの減価償却の特例

ここでは、購入した金額ごとに適用することができる減価償却の特例について、まとめたいと思います。

 

一般的には、取得価額が10万円以上のものが固定資産であるという認識が多いと思いますが、一括償却資産と言って、購入した金額を3年で均等に損金算入するものや、

中小企業者等を対象に、取得価額30万円未満の減価償却資産を、一定の要件のもとに、損金算入することができる特例があります。

 

取得額別に、法人税上の取り扱い、償却資産の申告有無を図解しました。

 

⑴少額減価償却資産

取得価額が10万円未満の少額減価償却資産は、耐用年数によらず事業供用日に全額経費で処理できます。その場合は、固定資産台帳への登録も不要です。

 

⑵一括償却資産

取得価額20万円未満の減価償却は、一律3年間で減価償却することができます。事業年度ごとに一括償却資産の合計額で固定資産台帳へ登録が必要です。

3年間の償却ですが、月割の概念はありません。

つまり、取得価額×事業年度の月数/36月の金額を損金に算入します。

「一括」とは全部まとめるという意味と考えられます。

 

⑶中小少額減価償却資産

中小企業の場合、取得価額10万円以上30万円未満の減価償却資産であれば、事業供用日に全額経費にできます。

ただし、事業年度ごとの取得価額の合計は300万円を限度としており、固定資産台帳への登録も必要となります。

 

この特例の対象となる法人は、青色申告法人である中小企業者等で、常時使用する従業員が1,000人以下の法人に限られています。

 

10万円以上の場合は、取得価額によって選択することが出来ます。

例えば、15万円のパソコンを購入した場合、⑵か⑶の処理を、選択することになります。

 

⑷通常の減価償却資産

上記のいずれでも処理をしなかった物については、通常の減価償却資産として、主に定額法か定率法で減価償却を行っていきます。

 

7 まとめ

 

今回は、固定資産の基本的な考え方と償却資産税、そして金額ごとの減価償却の特例について整理いたしました。

固定資産、減価償却、耐用年数…など、聞きなれない用語が多いと、難しいように思いますが、会社の利益を正しく把握するために必要不可欠な処理です。

 

取得時の処理に注目しがちですが、除却時にも会計処理が必要となります。

私は実務上、除却処理を失念していたことがあり、決算時に慌てて計上した経験があります。

 

そのようなミスをなくすためにも、固定資産台帳での管理も重要ですね。


必見!合併時の税務申告

こんにちは!公認会計士の岸です。

 

現状のコロナ禍において、業績悪化に悩まれている中小企業様は多いかと思われます。

その中で、事業の継続が困難になり、会社や事業を他社に売却するM&Aの動きが徐々に活発になってくるものと思われます。

 

M&Aを実行する際には、様々な税務論点の検討が必要となり、特にメインの論点となる

組織再編の適格判定や欠損金の引継ぎに関しては多くの書籍や文献が存在します。

 

一方で、実際の申告書をどう書くか、といった部分を解説している媒体はそこまで多くないように見受けられたため、

私自身の備忘も兼ねて、組織再編時の申告書作成の実務的な留意点をご紹介いたします。

 

組織再編には様々な形態がありますが、ここでは、ある会社が他社を吸収合併した場合を想定します。

 

1.想定条件

以下の条件を想定して、申告書の記載例などを紹介していきます。

簡単な吸収合併のケースを想定します。

 

2.法人税申告(被合併法人)

被合併法人の最終事業年度の申告といっても、基本的には通常の期の申告と同様に税務処理を行えば問題ありません。

ただし、申告書の記載上、いくつかの留意点があります。

 

■国税申告書(別表一)

主な記載欄ごとの情報は以下の通りです。

記載例は以下の通りです。

 

提出先等

被合併法人の情報ではなく、合併法人の情報を記載する点に注意しましょう。

被合併法人の最終事業年度の税金の申告、納付時には、被合併法人は合併により消滅してしまっていることから、

合併法人が申告、納付を行うためです。

なお、法人名の欄では、合併法人名の後ろに、被合併法人名を併せて記載します。

 

旧納税地及び旧法人名等

被合併法人の納税地及び法人名を記載します。

 

添付書類

以下の書類にチェックを付けます。

通常の申告ではチェックが付かない場所かと思いますので、チェック漏れに注意しましょう。

また、チェックするだけではなく、書類の申告書への添付も忘れないようにしましょう。

 

◆“組織再編成に係る契約書の等の写し“

:合併の場合には合併契約書の写しです。

◆“組織再編成に係る移転資産等の明細書”

:(2)で説明する付表のことです。

 

利用者識別番号(e-Tax)

電子申告を行う法人限定の注意点ですが、利用者識別番号も合併法人の番号を使用しますので注意してください。

 

■組織再編成に係る主な事項の明細書(付表)

組織再編を行った際にはこの付表の添付が求められます。

当該付表は2020年12月時点において、電子申告に対応していないため、電子申告の達人などで

電子申告を行う際には、申告書の添付資料として、別ファイルで送付する必要があります。

 

記載例は以下の通りです。

 

組織再編成の態様

該当する組織再編の形態をチェックします。

また、組織再編成の日には、合併契約書に記載されている組織再編の効力発生日を記載します。

 

適格区分

法人税法上の適格組織再編に該当するかどうかをチェックします。

適格組織再編に該当する場合には、根拠条文を併せて記載します。

適格要件の条文は複雑なので、参照条文を誤らないよう注意しましょう。

 

●組織再編成に係る関連法人

合併法人及び被合併法人の情報を記載します。

(名称及び所在地)

 

●株式保有関係等

適格組織再編の判定の基礎となる、株式の保有関係や割合、事業関連性などを記載します。

該当する適格要件の形態によって、記載の必要な箇所が異なってきます。

記載例は、最も要件が多い、共同で事業を行うための合併による適格合併を想定しています。

 

■地方税申告書

地方税の申告書の各欄に記載する情報は以下の通りとなります。

記載例は以下の通りです。

提出先等

提出先や法人番号、所在地については、被合併法人の情報を記載します。

それ以外の法人名などの欄は、合併法人の情報を記載します。

 

利用者ID(eLTAX)

利用者IDは、東京都については被合併法人のIDを使うように回答がありましたが、

自治体によって運用が異なる可能性があります。

そのため、申告書の提出前に、各自治体へ合併法人と被合併法人のどちらの利用者IDを使用すべきか、

電話で確認するようにしましょう。

 

3.消費税申告(被合併法人)

法人税と同様のため、省略します。

提出先や納税地は全て合併法人のものを記載します。

 

4.税務届出関係

吸収合併の際に提出する税務届出で基本的なものは以下の通りです。

この他にも、被合併法人が課税事業者選択届出書を提出している場合で、

合併法人が課税事業者の選択の特例を適用したい場合には、合併法人として改めて届出書を提出する必要があるなど、

個々の事例によって求められる届出が変わります。

また、特に会社分割の場合には、下記の国税庁のHPにもあるように、提出を検討する届出書が多岐に渡るため、

慎重な検討が必要になります。

届出の提出漏れが生じないように注意しましょう。

https://www.nta.go.jp/taxes/tetsuzuki/shinsei/annai/kigyosaihen/mokuji.htm

 

5.合併における税務論点

以上では、申告書の記載について重点的に解説しましたが、合併における税務論点についても簡単に解説していきます。

 

合併にあたっては、そもそもその合併が適格合併に該当するのかどうか、

また適格合併に該当しても繰越欠損金が引き継げるのかどうか、といった点が最も重要な税務論点になるかと思います。

適格組織再編の判定や、繰越欠損金の取扱いについては非常に論点が多く、

それだけで本が1冊書けるような難解な税制になりますので、改めて記事にしたいと思います。

 

下記では、その他の合併における税務論点について俯瞰していきます。

 

◆適格合併の取扱い:

合併が税法上の適格合併に該当する場合には、被合併法人の資産負債は全て税務上の“簿価”で

合併法人に引き継ぐことになります。

そのため、いわゆる別表五(一)上の税務調整項目も、全て合併法人に引き継ぐことになります。

純資産部分についても、税務上の利益積立金額と資本金等の額をそのまま引き継ぐことになりますが、

親子間の合併などの場合には、抱き合わせ株式の調整が必要となりますので、注意が必要です。

他にも、法人税法では様々な規定に影響があり、過去の数値を使用して限度額計算や判定計算が

行われるような規定では、原則として被合併法人の数値と合併法人の数値の合計額で判定を行うことになります。

 

◆非適格合併の取扱い:

合併が税法上の非適格合併にが該当する場合には、被合併法人の資産負債は全て“時価”で

合併法人に譲渡されたものとして取り扱います。

被合併法人では時価譲渡により譲渡損益を認識する必要がありますし、

合併法人側ではいわゆるのれん相当額を 資産(負債)調整勘定という形で、

税務上の資産(負債)として認識します。

 

◆被合併法人のみなし事業年度:

合併を行った場合には、被合併法人は合併により消滅するため、合併が期中に行われた場合には

被合併法人の事業年度が1年を経過しない途中で途切れることになります。

この、途中で途切れた被合併法人の最終事業年度を、みなし事業年度といいます。

合併の効力発生日の前日が、被合併法人のみなし事業年度の末日となります。

 

◆事業年度が1年未満の場合の各種取扱い:

減価償却資産の償却率については、事業年度が1年存在することを前提として設定されています。

そのため、みなし事業年度が1年未満となる場合には、みなし事業年度の月数で償却率を調整することが必要となります。

また、交際費の定額控除限度額、法人税の税率判定、地方税の均等割、なども年額をベースとしているため、

月数による調整を行う必要があります。

 

◆納税義務判定と簡易課税判定(消費税):

合併により被合併法人を吸収した合併法人については、被合併法人の基準期間に相当する期間の課税売上高を考慮して、

納税義務判定を行う規定が設けられています。

課税事業者の判定漏れがないように注意しましょう。

一方で、簡易課税制度の適用判定における基準期間における課税売上高は、合併があったとしても

合併法人の課税売上高のみを使用して判定します。

納税義務判定の計算と混同しないように注意が必要です。

 

◆調整対象固定資産(消費税):

被合併法人が調整対象固定資産を取得しており、その調整対象固定資産を合併により合併法人が引き継いでいる場合には、

調整対象固定資産の調整計算に係る通算課税売上割合の判定を、合併法人で引き続き行う必要があります。

 

6.さいごに

今回は、吸収合併の場合を想定し、主に申告書の記載方法についてメインに解説いたしました。

M&Aは検討すべき論点が非常に多岐にわたり、税務業務の中でも高度な知識が求められる分野です。

事前に組織再編業務に精通した税理士に、組織再編実行時だけではなく、

事前のスキーム策定まで含めて相談することが非常に重要です。

 

弊社でもM&Aのスキーム提案などを数多く行っており、M&Aのマッチングサイトのアドバイザーとしての登録も行っています。

M&Aに興味がある方は、弊社でも様々なアドバイスや提案が可能ですので、お気軽にご相談いただければと思います。


超速報!令和3年度税制改正大綱を徹底解説!

こんにちは。

税理士の山田です。

 

今回は令和2年12月10日に公表された『令和3年度税制改正大綱』を解説します。

公表されたばかりの情報ですので、スピードと解り易さを重視して解説しております。

正確性を担保するものではございませんので、予めご了承ください。内容に誤り等がございましたら随時訂正して参ります。

また、税制改正大綱は税制改正の素案となるものであり、おおむねこの通りの改正がされることがほとんどですが、100%確実ではございません。確定事項ではない点はご理解ください。

 

Ⅰ個人所得税課税

①住宅ローン控除の特例措置

消費税率が10%に改正されたタイミングで導入された住宅ローン控除の特例措置で控除期間が通常は10年間のところが13年間に延長するというものがございました。こちらの措置について、従来は令和2年12月31日までに取得した住宅が対象となっていましたが、令和3年1月1日~令和4年12月31日までに取得の住宅についても適用が出来ることになります。契約の時期については縛りがありますので注意が必要です。

 

②社債の利子等に対する課税の見直し

社債の利子については、所得税・住民税において原則は分離課税(20.315%)が適用されるものの、同族会社が発行した私募債の利子については、同族株主やその親族が支払いを受ける場合には総合課税になるような措置がされています。ただし、同族会社であってもいわゆる子会社や孫会社から個人株主が利子の支払いを受ける場合には総合課税の対象となりませんでした。今回の改正で、株主が法人であっても、その法人に50%超の支配関係を有する個人は総合課税の対象になることになります。この改正は令和3年4月1日以後に支払を受けるべき社債の利子等について適用します。

 

③退職所得課税の適正化

退職金に対する所得税の課税においては、退職所得控除がされた後に1/2を乗じた金額が所得金額とされます。平成25年以降、勤続年数が5年以下の役員の場合には、この1/2を乗じる計算が出来ないようになる措置が取られていましたが、こちらの対象を役員だけではなく、従業員にも対象を拡大するというものです。ただし、従業員で改正の対象となる場合であっても、退職金額から退職所得控除を差し引いた金額のうち300万円部分については1/2の計算が認められており、それを超えた部分についてのみ1/2を認めないという措置がされます。この措置は令和4年分以後の所得税について適用します。

 

④源泉徴収関係書類の電磁的方法による提供の要件緩和

源泉徴収関係書類とは、いわゆる年末調整の際に提出する書類のことです。こちらの書類について電磁的方法(つまり、クラウドの給与システム等を利用して書類を提出する方法)による場合には、書面による書類の保存が不要とされていました。ただし、この方法による場合には事前に申請書の提出が必要で税務署長の承認を受ける必要がありましたが、こちらの承認手続きが不要となりました。この改正は、令和3年4月1日以後に提出する源泉徴収関係書類について適用します。

 

Ⅱ資産課税

①納税義務者と課税財産の範囲の見直し

いわゆる非居住者が、相続開始時点で国内に居住する在留資格を有する者から相続等により財産を取得する場合には、課税対象財産は国内財産に限定され、国外の財産については課税しないこととされます。

※現行の取扱については国税庁の下記HPを参照ください。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/sozoku/4138.htm

 

②直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税措置

令和3年4月1日から同年12月31日までの間に契約を締結した場合における非課税限度額が下記の金額に引き上げられます。

現行

改正案

消費税等の税率 10%が適用される住宅用家屋の新築等

1200万円

1500万円

上記以外の住宅用家屋の新築等

800万円

1000万円

※上記の非課税限度額は、耐震、省エネ又はバリアフリーの住宅用家屋に係る非課税限度額であり、一般の住宅用家屋に係る非課税限度額は、それぞれ 500 万円を減らした額

 

③直系尊属から教育資金の一括贈与を受けた場合の非課税措置の改正

信託設定期間中に贈与者が死亡した場合において、相続税が課税されるケースは3年以内贈与に限定されていましたが、設定期間中の相続は全て対象となりました。ただし、受贈者が一定の要件に該当する場合(23歳未満である、学校等に在学中、教育訓練を受講している場合)については、従前どおり相続税の課税対象外とされます。この改正は令和3年4月1日以後の信託等により取得する財産が対象です。

 

④直系尊属から教育資金・結婚・子育て資金の一括贈与を受けた場合の非課税措置の改正

教育資金の一括贈与と結婚・子育て資金の一括贈与について、信託設定期間中に贈与者が死亡した場合で相続税の課税がされるケースについても、相続税額の2割加算の対象外とされていましたが、判定対象にも含まれることになりました。この改正も令和3年4月1日以後の信託等により取得する財産が対象です。

 

※上記③及び④の従前の制度内容については国税庁の下記HPを参照ください。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/zoyo/4512.htm

 

Ⅲ法人課税(大法人向け)

①産業競争力の強化法に係る措置

令和3年に産業競争力強化法の改正が予定されており、それにより事業適応計画(仮称)という制度が創設される予定です。詳細については現時点では解りかねますが、大綱によると「新商品開発や新生産方式・販売方式の導入により新需要開拓や生産性向上に全社を挙げて取り組む企業が提出する」とのことです。

この計画を提出した青色申告法人が、計画を実施するために必要な一定のソフトウェア(DXを促進するものが対象になると思われます)を取得した場合には、そのソフトウェアの取得価額について30%特別償却か3%~5%の税額控除を選択適用出来るようになります。

 

②大企業向け所得拡大促進税制の改正

従来の適用判定が一新され、新規雇用者給与等支給額により制度判定が行われることになります。「新規雇用者給与等支給額」とは、国内の事業所において新たに雇用した雇用保険法の一般被保険者(支配関係がある法人から異動した者及び海外から異動した者を除く。)に対してその雇用した日から1年以内に支給する給与等の支給額を言うようです。こちらの給与等支給額が前年比で2%以上増加することが適用要件とされます。具体的な計算については大綱からは読み取れないために、詳細は令和3年4月以降に明らかになると思われます。なお、適用時期は令和3年4月1日から令和5年3月31までの間に開始する事業年度となります。

※従前の所得拡大促進税制の取扱いについては経済産業省の下記HPを参照ください。

https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinzai/syotokukakudaisokushin/syotokukakudai.html

 

③繰越欠損金の控除上限の特定創設

こちらは大法人を対象とした改正項目で、大法人は従前では欠損金の控除が当年度所得金額の50%までしか認められていませんでした。上記①にて説明した産業競争力強化法の事業適応計画の認定を受けた青色申告法人について、適用事業年度(※1)において特例対象欠損金(※2)がある場合には、累積投資残額(※3)の範囲内で、当年度所得金額の50%を超えて100%までの特例対象欠損金の控除が認められることになります。

※1「適用事業年度」とは、特例対象欠損金額が発生してからおおむね5年以内の期間を言います。詳細は割愛します。

※2 「特例対象欠損金額」とは、令和2年4月1日から令和3年4月1日までの期間内の日を含む事業年度(一定の特例あり)において生じた青色欠損金額を言います。

※3 「累積投資残額」とは、「事業適応計画に従って行った投資の額」-「既に本特例により当年度所得金額の50%を超えて損金算入した欠損金相当額」で計算します。

つまりは、コロナ禍で発生した欠損金額については、事業適応計画で行った投資額の範囲内で、50%超の欠損金利用を認めるというものです。

 

Ⅳ法人課税(中小法人向け)

①経営改善設備を取得した場合の優遇措置廃止

適用期限令和3年3月31日をもって制度を廃止します。制度の概要は中小企業庁の下記HPを参照ください。

https://www.chusho.meti.go.jp/zaimu/zeisei/2015/150401zeisei.htm

 

②中小企業経営強化税制の延長

中小企業者等が特定経営力向上家設備等を取得した場合には、100%即時償却又は税額控除が出来る制度がありましたが、こちらの制度が対象設備を一部追加した上で延長がされます。適用期限は令和3年3月31日とされていましたが、令和5年3月31日まで延長がされます。制度の内容については中小企業庁の下記HPを参照ください。

https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/kyoka/index.html

 

③中小企業向け所得拡大促進税制の見直し

本税制は2年間延長がされた上で、従前では継続雇用者給与等支給額の前年比にて行っていた1.5%以上の増加判定要件を、雇用者給与等支給額の前年比にて行うことになりました。これにより継続雇用者給与等支給額の集計が不要となりましたので、本制度の適用判定が非常に簡便になったと思います。なお、上乗せ措置の2.5%以上の増加割合判定についても同様に雇用者給与等支給額の前年比で行うことになります。また、給与等の支給額から控除する「給与等に充てるため他の者から支払を受ける金額」について、範囲が明確になり雇用調整助成金等を控除しないことになります。

 

④中小企業の経営資源の集約化に資する税制の創設

本制度は中小企業等経営強化法の改正に伴う措置であり、改正により経営資源集約化措置(仮称)という制度が創設されるようです。具体的には、下記の要件を満たした青色申告書を提出する中小企業者等が、その取得する株式等の取得価額の70%の範囲内で、中小企業事業再編投資損失準備金として積み立てた金額を損金算入(費用処理)できることとなります。

<要件>

ⅰ)一定の時期に経営資源集約化措置(仮称)が記載された経営力向上計画の認定を受ける

ⅱ)その認定に係る経営力向上計画に従って他の法人の株式等の取得をする(10億円以下)

ⅲ)その株式等をその取得の日を含む事業年度終了の日まで引き続き有している

 

この準備金は、その株式等を有しなくなった場合やその株式等の帳簿価額を減額した場合には逆に一定額が益金算入(収益計上)され、それ以外の場合にもその積み立てた事業年度以後5年間で経過期間に応じてその準備金残高を均等に取り崩して、益金算入(収益計上)することになります。

 

Ⅴその他

①条約届出書等の提出手続きの電子化

本件は大綱からは詳細が読み取れないのですが、租税条約の届出書の提出手続きを電子化する内容にように読み取れます。もし、そうであれば国際取引が多い大企業等においては事務の効率化に繋がると思われます。詳細は不明ですが気になった改正項目となります。なお、租税条約の届出手続きについては国税庁の下記HPをご覧下さい。

https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/gensen/2888.htm

 

②内国法人が外国子会社から受ける配当等の額に係る外国源泉税等の額の取扱いの見直し

大綱に下記の文章があるのですが、本件については現行で全額損金不算入とされている取扱いであるはずであり、大綱がどのようなことを想定しているのかが不明です。項目としてしては気になるものでしたので取り上げました。

<大綱文章>

外国子会社から受ける配当等の額(外国子会社配当益金不算入制度の適用を受ける部分の金額に限る。)に係る外国源泉税等の額の損金算入について、その配当等の額のうち内国法人の外国関係会社に係る所得の課税の特例(いわゆる「外国子会社合算税制」)との二重課税調整の対象とされる金額に対応する部分に限ることとする(現行:全額損金算入)。

本項については、情報収集をしたところ改正の内容が明らかになって参りました。まず前提として、外国子会社合算税制(いわゆるCFC税制)の対象になった課税対象金額から配当が行われた場合には、その配当に関する外国源泉税については全額が損金算入されることになります。しかし、例えば外国子会社からの配当金額が1,000で外国源泉税100が引かれて入金があったとして、課税対象金額は200だとします。この場合には、配当金額については200は全額が益金不算入、800が95%益金不算入となりますが、外国源泉税については100全額が損金に算入されます。この取扱いを改めて配当金額の取扱いに準じて、外国子会社合算税制の対象になった200に対応する外国源泉税20が損金算入の対象になるというものです。

また、一方で外国子会社合算税制の対象になった配当と通常の海外関連会社(外国子会社益金不算入制度の適用がない会社)からの配当についての外国税額控除も改正がされます。例えば、外国関連会社からの配当金額が1,000で外国源泉税100が引かれて入金があったとして、課税対象金額は200だとします。この場合には、配当金額については200は全額が益金不算入、800は全額が益金算入となりますが、外国源泉税については全額が損金算入となり外国税額控除の適用対象外になります。この取扱いを改めて配当金額の取扱いに準じて、外国子会社合算税制の対象外である800に対応する外国源泉税80については外国税額控除を認めるというものです。

※本項については12月17日に訂正を致しました。

 

③税務関係書類における押印義務の見直し

次に掲げる税務関係書類を除いて、税務関係書類の押印が必要なくなりました。さらに、この改正は令和3年4月1日以後に提出する税務関係書類について適用しますが、施工日前であっても実質的に押印を不要とするような柔軟な対応がされています。また、地方税についても同様の措置が取られます。

ⅰ)担保提供関係書類及び物納手続関係書類のうち、実印の押印及び印鑑証明書の添付を求めている書類

ⅱ)相続税及び贈与税の特例における添付書類のうち財産の分割の協議に関する書類

 

④電子帳簿等保存制度の見直し

この改正項目については今回の改正で一番重要であると考えています。そのために改めて本件だけで一度まとめようと思いますが、取り急ぎ概要のみ下記に整理します。本件は基本的には令和4年1月1日から施行されます。

(電子計算機を使用して作成する帳簿書類関係)

・承認制度を廃止します。

・実質的に訂正等履歴要件、相互関連性要件が廃止され、検索要件が緩和されます。

・「システム概要書等の書類備付」「一定の電子機器と説明書等の備付」「調査官がデータのダウンロードを求めた場合には応じる」の3つの要件のみでOKとなります。

(スキャナ保存関係)

・承認制度を廃止します。

・タイムスタンプ要件の付与期間が入力期間(最長約2月以内)と同様となります。

・受領者等がスキャナで読み取る際に行う国税関係書類への自署を不要とします。

・電磁的記録について訂正又は削除を行った事実及び内容を確認することができるシステム、又は、訂正又は削除を行うことができないシステムであれば、タイムスタンプの付与が不要になります。

・適正事務処理要件(相互けん制、定期的な検査、再発防止策の社内規程整備等)が廃止され、検索要件が緩和されます。

(電子取引制度)

・タイムスタンプ要件の付与期間が最長約2月以内となります。

・検索要件が緩和されます。

 

⑤個人住民税の特別徴収税額通知について

給与所得に係る特別徴収税額通知について、eLTAXを経由して給与支払報告書を提出する特別徴収義務者が申出をしたときは、市町村は、当該通知の内容をeLTAXにて当該特別徴収義務者に提供しなければならないこととなります。つまり、地方税共有納税システムを利用することによって、住民税特別徴収税額の納付手続きがペイジー又はダイレクト納付により効率的に行うことが出来るようになります。この改正は令和6年度分以後の個人住民税について適用します。

 

⑥土地に係る固定資産税の負担軽減措置

令和3年度については、3年に一度の固定資産税の評価替えの基準年度にあたるため、本来であれば適正な時価に見直しがされ、固定資産税が課税されることになります。しかし、コロナの影響を鑑みて、一定の宅地及び農地については令和3年度の課税標準を令和2年度の課税標準と同額とする措置が取られます。これにより令和3年度の固定資産税は日本全国でみると数百億円規模の減税になるようです。


電子取引における証憑の保存について

こんにちは。

税理士の大塚です。

 

最近は請求書や領収書などの書類を、メールやシステムでやり取りするケースも増えてきました。特にコロナの影響からテレワークを推進されている企業も多く、極力紙ベースではなくデータでのやり取りへのシフトすることを検討されている方もいらっしゃると思います。今回は電子取引による書類の保存方法について解説します。

 

1 電子取引とは

電子取引とは、取引情報の授受を電磁的方式により行う取引をいいます。取引情報は、契約書、請求書、領収書等の書類に通常記載される事項であり、これらの情報を電子上でやり取りする取引になります。

具体的には、以下のようなものが該当します。

 

(1)電子メールによる請求書、領収書のPDFファイル等の受領
(2)インターネットのホームページから請求書、領収書のデータをダウンロードすることでの受領
(3)電子請求書や電子領収書の授受に係るクラウドサービスを利用
(4)クレジットカードの利用明細データ、交通系ICカードの支払データ等を活用したクラウドサービスの利用
(5)特定の取引に係るEDIシステムを利用

 

2 電子取引による書類の保存は税務署の承認が不要

電子データでの書類の授受がされた場合、大きく以下の二つに分けられます。

 

(1)電子データでも行うが、紙も発行されるケース
(2)電子データで完結するケース

 

(1)については、例えばメールで請求書を送った後に、原本を紙で郵送するようなケースです。紙が出る以上は、その紙を保存する義務が出てしまいます。紙ではなく電子データで保存をしたい場合は、3か月前までに税務署へ承認申請が必要です。相手から受領する請求書や領収書を電子データとして保存する場合は、スキャナ保存といって、タイムスタンプを付与する必要があります。

(2)については、①紙に出力したものを保存、②電子データのまま保存、のいずれかを選択することになります。ここが重要なポイントですが、②電子データのまま保存を選択した場合でも、税務署への承認申請は不要です。

 

簡潔にまとめると以下の通りです。

 

但し、電子取引につき無条件で電子データのまま保存することを認めているわけではなく、一定の要件を満たす必要があります。逆に言えば、一定の要件を満たすのが難しい場合は、①紙に出力したものを保存することが求められます。

 

3 電子データのまま保存する要件

電子取引を行った際に、電子データのまま保存を行う要件は以下の通りです。これら全ての要件を満たす必要があります。

 

(1)システムの概要を記した書類の備付

自社開発プログラムを利用する場合に限ります。

(2)見読可能装置の備付

ディスプレイ、プリンターなどの備付が必要です。

(3)検索機能の備付

取引年月日、取引金額など主要な項目につき検索ができることに加えて、例えば1月から3月の間といった範囲を指定しての条件設定が可能であること、任意の二以上の項目を組み合わせて条件設定が可能であること、が必要となります。

(4)その他以下のいずれかの要件を満たす

①タイムスタンプが付与されたデータを授受

②授受後遅滞なくタイムスタンプを付与

③訂正、削除ができない(行った場合確認ができる)システムを利用しての授受、保存

④「正当な理由がない訂正及び削除の防止に関する事務処理の規定」の策定、運用、備付

 

電子データのまま保存と一口に言っても、例えばメールで送られてきたPDFの請求書をサーバーに保存しておけば良いというわけではなく、これらの4要件を満たしていくことが必要です。従って、現実的には外部システムを導入して保存していく以外は難しいかと思います。

(1)から(3)までの要件は保存のためのシステム面の規定です。外部システムを導入される場合は、(1)の要件は不要ですので、(2)(3)を満たす必要があります。特に(3)の検索機能の備付については、ある項目を単純に検索できるだけでなく、範囲指定や任意の二以上の項目指定も必要など細かい要件が求められます。

 

それに対して、実際の電子データの授受につきどのような措置が必要かというのが(4)の部分です。従来は②、④しか認められていませんでしたが、改正により2020年10月1日以降は①、③が加わることになりました。この改正により、例えば業者からの請求書にタイムスタンプがあらかじめ付与されていれば、①の要件を満たすことになります。

 

また、訂正や削除ができないクラウドサービスのシステムを通じて請求書等を授受する場合は③の要件を満たします。このようなサービスは今後増加していくことが予想されますが、保存要件に合致するかは、事前にシステム会社に確認することをお勧めします。

タイムスタンプや、訂正・削除に制限を持たせたシステムを利用することが難しい場合でも、④の事務処理の規定があれば電子データのまま保存することが可能です。国税庁が公表している「電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】」の問19に具体的な規定の例文がありますので、参考にしてみて下さい。

※国税庁 電子帳簿保存法一問一答【電子取引関係】

https://www.nta.go.jp/law/joho-zeikaishaku/sonota/jirei/07denshi/02.htm#a019

国税庁が公表している規定は、自社の規定により訂正、削除を防止する規定になっておりますが、取引相手と契約によって防止する方法も認められています。この場合は、事前に訂正、削除の防止に関する条項を含む契約を締結する必要があります。


解散、清算時の税務

こんにちは。

税理士の大塚です。

事業を廃止する場合や子会社を整理する目的で法人を消滅させたい為、解散、清算という手続きを踏むことがあります。

今回は会社を解散、清算した際の税務の取り扱いについて解説します。

法的な会社清算などもありますが、今回は、通常の解散、清算に限定します。

 

1 解散から清算までの流れ

 

(1)事業年度の考え方

 

法人を消滅させる場合、「解散」と「清算」という二段階を踏むことになります。

法人を解散した場合、期首から解散の日までの期間をみなし事業年度として、その時点で事業年度が区切れます。

ここで解散事業年度として、一度申告が必要となります。(図 みなし事業年度①)

その後、残った資産、債務を整理する期間があり、株主に分配すべき財産を確定させます。

この財産のことを残余財産と言います。残余財産が確定するまでに1年以上を要する場合は、

解散の日の翌日から1年毎に申告が必要となります。(図 みなし事業年度②)

残余財産が確定すると、残余財産の確定日までの期間がみなし事業年度となり、

これが最終事業年度となり、最後の申告が必要となります。(図 みなし事業年度③)

 

 

従って、解散・清算を行うと、解散事業年度、清算事業年度で最低2回は申告が必要となり、

残余財産が確定するまでに1年以上を要する場合は、申告回数もその分増加します。

申告期限は、原則事業年度終了の日の翌日から2か月以内であり、延長申請を出されている場合は延長も可能です。

但し、残余財産確定事業年度のみ、残余財産確定した日の翌日から1か月以内

(その期間に残余財産の最終分配が行われる場合は、行われる日の前日まで)となります。

 

(2)税金の計算方法

 

通常の損益計算(益金から損金を控除)により税金が計算されます。

会社清算にあたり、債務免除を受ける場合も想定されますが、債務免除益として収益認識される為、注意が必要です。

 

(3)残余財産の分配

 

株主に対して残余財産の分配があった場合、有価証券の譲渡損益のみならず、みなし配当が発生する場合があります。

みなし配当は、本来の配当ではないものの、配当を受けたとみなされる制度です。

清算時の資本金等の額を超える金額の分配があった場合には、

資本金等の額部分は有価証券の譲渡対価となりますが、その超える金額はみなし配当とされます。

個人株主の場合、みなし配当は総合課税となりますので、累進税率により税額が高額になる可能性があります。

 

 

また、清算される法人としては、みなし配当にかかる源泉所得税を徴収して納付する必要があります。

2 繰越欠損金の取り扱い

(1)概要

 

通常の事業年度と同じく繰越欠損金の利用は可能です。

資本金1億円超の会社や資本金5億円以上の完全子会社は繰越欠損金の利用につき

所得金額の50%までの使用制限が生じますが、それも同様です。

解散事業年度、清算事業年度につき特例で制限が生じないということはありません。

 

債務免除を受ける場合など、多額の利益が出る可能性もありますので、

特に欠損金の制限がある会社は納税も意識しないといけません。

 

(2)残余財産がないと見込まれる場合

 

清算事業年度については、残余財産がないと見込まれる場合は、期限切れ欠損金を利用することができます。

残余財産がないと見込まれるかどうかは、清算事業年度毎に判定を行う必要があります。

残余財産確定までに時間を要する場合は、複数回申告することが想定されますが、それぞれで判定を行います。

 

法人税基本通達12-3-8によると、債務超過であれば要件を満たすことになります。

但し、残余財産確定事業年度については債務超過の状態だと通常の清算はできませんので、

純資産が0円の状態であれば、残余財産はないこととなり、期限切れ欠損金を利用できると考えられます。

 

また、期限切れ欠損金を利用する場合は、残余財産がないと見込まれる書類を申告時に添付する必要があります。

実務上は、資産、負債を時価に修正した実態貸借対照表などを添付します。

時価については、事業年度終了時の処分価格によりますが、

事業譲渡を前提とした解散である場合で継続して他の法人で事業供用される見込みであるときは、

譲渡される場合に通常付される価額によります(法人税基本通達12-3-9)。

 

(3)期限切れ欠損金の計算方法

 

具体的な期限切れ欠損金の金額は①から②を控除した金額となります。

①適用年度終了の時における前事業年度以前の事業年度から繰り越された欠損金額の合計額

②青色欠損金額又は災害損失欠損金額

 

上記①は法人税法基本通達12-3-2において、別表5(1)の期首現在利益積立金額の合計額とされています。

期限切れ欠損金は俗称ですので、適用期限を経過した別表7(1)の繰越欠損金ということではなく、

別表5(1)を確認すれば損金可能限度額が分かります。

 

(4)欠損金の繰戻還付

 

通常は、中小企業者等以外は繰戻還付の適用は停止されていますが、

解散事業年度、清算事業年度に関しては、資本金の大きさに関わらず適用可能です。

 

3 繰越欠損金の引継

例えば100%子会社など完全支配関係のある会社が清算した場合、

親会社は子会社が使用し切れなかった繰越欠損金を引き継ぐことが可能です。

その代わり、親会社で子会社株式の清算損失を損金にすることはできません。

清算損失を損金にして繰越欠損金も引き継ぐと、二重で損失を取り込むことになりますので、制限を入れています。

また、繰越欠損金を全額引き継げるのは、支配関係が生じてから5年を経過している場合、

子会社設立から継続して支配関係がある場合などに限られます。

清算する子会社が過去5年以内に買収されたものである場合は、

買収した事業年度以降に生じた欠損金しか引継ぐことができないため注意が必要です。

 

4 その他の税金の取り扱い

(1)事業税

 

事業税は申告書を提出した日を含む事業年度の損金になります。

そうすると、残余財産確定事業年に生じる事業税は損金算入されるタイミングが失われてしまう為、

残余財産確定最終事業年度において事業税を損金算入させることができます。

 

また、外形標準対象法人については、解散の日における資本金が1億円を超える場合に適用されます。

この場合、解散後に減資をしたとしても、清算事業年度は外形標準の対象となります。

但し、清算事業年度中は資本割については課せられません。

加えて、残余財産確定した日を含む最終の清算事業年度は、付加価値割、資本割ともに課税されません。

 

(2)消費税

 

解散、清算中の事業年度であっても消費税の納税義務は通常通りです。

資産の整理による売却が多額になる場合などは、消費税の納税があることにも留意する必要があります。

 


新型コロナウイルス感染症に関する申告期限の延長について徹底解説!!

こんにちは。

税理士の山田です。

 

この度の新型コロナウイルスの影響で多大な被害が出ております。

まずは、実際に被害に遭われている方にお見舞いを申し上げます。

 

今回の新型コロナウイルスの対策について国税庁は柔軟な対応をしてくれています。国税庁のHPにてQAが公表されていますが、こちらを紐解いて見ようと思います。

今回は条文などをベースにした解説で、解りやすさよりも根拠を重視していますので、どちらかというと同業者の方向けの内容となりますので、解り難さにはご了承ください。

 

国税庁よりFAQ公開

 

現状、新型コロナウイルスに関連した申告期限の延長について、下記の3件のFAQが公表されています。

国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ(PDF/1,252KB)

申告所得税、贈与税及び個人事業者の消費税の申告・納付期限の個別指定による期限延長手続に関するFAQ(PDF/708KB)

法人税及び地方法人税並びに法人の消費税の申告・納付期限と源泉所得税の納付期限の個別指定による期限延長手続に関するFAQ(PDF/846KB)

 

上記のFAQでは個人や法人の確定申告について個別延長を認めます、という旨の記載があります。

 

どのような場合に個別延長が認められるか?

 

FAQでは、具体的には下記のような場合に個別延長が認められる、とあります。

○ 新型コロナウイルス感染症の影響により、法人がその期限までに申告・納付ができないやむを得ない理由がある場合には、申請していただくことにより期限の個別延長が認められます。

○ このやむを得ない理由については、例えば、法人の役員や従業員等が新型コロナウイルス感染症に感染したようなケースだけでなく、次のような方々がいることにより通常の業務体制が維持できないことや、事業活動を縮小せざるを得ないこと、取引先や関係会社においても感染症による影響が生じていることなどにより決算作業が間に合わず、期限までに申告が困難なケースなども該当することになります。

① 体調不良により外出を控えている方がいること

② 平日の在宅勤務を要請している自治体にお住いの方がいること

③ 感染拡大防止のため企業の勧奨により在宅勤務等をしている方がいること

④ 感染拡大防止のため外出を控えている方がいること

○ また、上記のような理由以外であっても、感染症の影響を受けて申告・納付期限までに申告・納付が困難な場合には、個別に申告・納付期限の延長が認められます。

〇 新型コロナウイルス感染症に感染した⽅はもとより、体調不良により外出を控えている⽅や、平⽇の在宅勤務を要請している⾃治体にお住まいの⽅、感染拡⼤により外出を控えている⽅など、新型コロナウイルス感染症の影響により、確定申告会場にお越しいただくことが困難な⽅や、申告書を作成することが困難な⽅については、個別に申告期限延⻑の取扱いをすることとしています。

 

非常に幅広い書き方がされておりますので、実際のところでは緊急事態宣言が発令されているエリアに本店を構えている会社や住所がある個人については、ほぼ個別延長が認められるのではないかと思われます。

 

個別延長とは何か?

 

また、今回の個別延長は国税通則法 11 条、国税通則法施行令3条3項、4項の規定に基づく延長となります。

少し前に個人の所得税・贈与税・消費税の申告期限が一律で4月16日まで延長されましたが、これは国税通則法 11 条、国税通則法施行令3条1項の規定に基づく延長で、個別ではなく、国税庁がエリアなどを指定して延長を決めるものになります。

 

条文を整理します。

国税通則法第11条  災害等による期限の延長

国税庁長官、国税不服審判所長、国税局長、税務署長又は税関長は、災害その他やむを得ない理由により、国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出その他書類の提出、納付又は徴収に関する期限までにこれらの行為をすることができないと認めるときは、政令で定めるところにより、その理由のやんだ日から2月以内に限り、当該期限を延長することができる。

国税通則法施行令第3条  災害等による期限の延長

1 国税庁長官は、都道府県の全部又は一部にわたり災害その他やむを得ない理由により、法第11条(災害等による期限の延長)に規定する期限までに同条に規定する行為をすることができないと認める場合には、地域及び期日を指定して当該期限を延長するものとする。

3 国税庁長官、国税不服審判所長、国税局長、税務署長又は税関長は、災害その他やむを得ない理由により、法第11条に規定する期限までに同条に規定する行為をすることができないと認める場合には、前2項の規定の適用がある場合を除き、当該行為をすべき者の申請により、期日を指定して当該期限を延長するものとする。

4 前項の申請は、法第11条に規定する理由がやんだ後相当の期間内に、その理由を記載した書面でしなければならない。

 

本来は納税者の申請に基づいて延長の処分を決めるのですが、今回はFAQにて『別途、申請書等を提出していただく必要はなく、申告書の余白に「新型コロナウイルスによる申告・納付期限延長申請」である旨を付記していただくこととしております』と案内があります。

 

具体的な記載の方法については、FAQを確認してください。

 

納付期限も全て延長されているのか?利子税・加算税は?

 

FAQにおいて『この場合、申告期限及び納付期限は原則として申告書等の提出日となります。』と記載があります。上記のように申告書に延長申請の旨を記載して提出すると、申告書の提出日が納付期限となります。

 

ここで気になってくるのが、利子税と加算税の取扱いです。とくに、法人税の申告期限の延長の場合などは申告期限内であっても利子税が掛かりますが今回はどうなのでしょうか。

 

まず、延滞税・利子税について条文を確認してみましょう。

国税通則法第63条  納税の猶予等の場合の延滞税の免除

2 第11条(期限の延長)の規定により国税の納期限を延長した場合には、その国税に係る延滞税のうちその延長をした期間に対応する部分の金額は、免除する。

国税通則法第64条  利子税

3 第60条第4項、第61条第2項(延滞税の額の計算の基礎となる期間の特例)、第62条(一部納付が行われた場合の延滞税の額の計算等)並びに前条第2項及び第6項の規定は、利子税について準用する。

 

つまり、国税通則法11条に基づく期限の延長ですので、利子税や延滞税は掛からないということです。ただし、申告書の提出日が納付期限となりますのでそれ以降については延滞税・利子税がかかる点は注意してください。

なお、現在(4月12日時点で)国会で審議中の延滞税免除による納税猶予が可決されれれば、この辺りは関係なく延滞税が掛からなくなる見込みです。

いわゆる通常の法人税の延長申請は、法人税法の規定に基づく期限の延長ですので、その場合には利子税が掛かりますが、国税通則法11条は別の規定となります。

 

続いて、加算税についてみて見ましょう。加算税については、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税と種類がたくさんありますが、過少申告加算税、無申告加算税について今回は当てはまらないので除外します。

 

不納付加算税について条文を確認します。

第67条  不納付加算税

源泉徴収等による国税がその法定納期限までに完納されなかつた場合には、税務署長又は税関長は、当該納税者から、納税の告知(第36条第1項(納税の告知)の規定による納税の告知(同項第2号に係るものに限る。)をいう。次項において同じ。)に係る税額又はその法定納期限後に当該告知を受けることなく納付された税額に100分の10の割合を乗じて計算した金額に相当する不納付加算税を徴収する。ただし、当該告知又は納付に係る国税を法定納期限までに納付しなかつたことについて正当な理由があると認められる場合は、この限りでない。

 

また、法定納期限とはどういう定義か?これは国税徴収法基本通達に記載があります。

(国税を納付すべき期限)

14 法第2条第10号本文の「国税に関する法律の規定により国税を納付すべき期限」については、次のことに留意する。

(1)通則法第11条《災害等による期限の延長》の規定により国税の法定納期限が延長された場合には、その延長された期限が法定納期限となる。

 

つまり、通則法11条の延長がされるとこれが法定納期限ということになりますから、源泉所得税の不納付加算税も掛からないものと思われます。


平成29年度税制改正大綱が発表!!!

こんにちは。

税理士の山田です。

 

ついに平成29年度税制改正大綱が発表されました!!

https://www.jimin.jp/news/policy/133810.html

我々の業界にとっては非常に大きな年に一度のニュースです。

 

経営者の方が見て、ポイントが解り易いように説明してみました。

 

【個人所得課税】

・配偶者控除の適用範囲縮小

世帯主の方の所得に応じて配偶者控除の減税額が縮小していきます。

サラリーマンの方で考えると、給料年収が

1120万円を超えると控除額が縮小していき、

1220万円を超えると、配偶者控除が全く受けられなくなります。

逆に、配偶者の方の年収については150万円までの方については

38万円満額の所得控除が受けられるようになります。

 

【資産課税】

・タワーマンションにかかる固定資産税・不動産取得税の補正

60m以上のタワーマンションについて階層ごとに固定資産税等の掛かり方が変わります。

建物全体での課税額は変わらないのですが、傾斜をかけて計算してくことで、

高層階の方は課税額が多くなり、低層階の方は課税額が少なくなります。

 

タワーマンションについては、相続税対策としての活用方法について問題とされてきました。

今回の改正では『税額のもととなる床面積を補正率により補正する』という改正ですが、

これが実際に相続税評価額に反映されるのか否かが、現時点では不明です。

また補正額としてはそれほど大きいものではないので、追加の改正が来年以降も考えられます。

これからの動向が気になるところです。

 

 

・非上場会社の株評価の見直し

いわゆる事業承継の際に課税される非上場会社の株式の評価のうち

類似業種比準価額について利益による株価への影響額が少なくなりました。

利益・配当・純資産の3要素で計算をしますが、利益の影響度が60%から33%になりました。

 

それ以外には、全体的には評価額が下がるような改正ですが、

利益の影響度が小さくなることで評価額を極端に下げることは難しくなりました。

 

また、会社規模による評価方法の判定基準についても変わる予定ですので、

会社規模が大きくなることによって評価額が小さくなる会社もあるかもしれません。

(税務上の評価方法は会社規模が大きい方が、規模に比して評価が下がりやすくなります。)

 

【法人課税】

・所得拡大税制の拡充等

人件費が増えた場合の税額控除制度について控除額が増額します。

給与の増加額に対して最大で22%分も法人税から控除してくれる制度です。(元々は10%)

なお、こちらの制度は元々あった制度で、計算が非常に複雑ではありますが、

利益が出ていて給与総額が増えている会社については必ず検討しましょう。

 

・中小企業向けの設備投資減税の拡充

設備を購入した場合の減税制度が拡充されます。

特に認定経営力向上計画に記載された経営力向上設備等のうち、

一定のものについては100%特別償却か税額の控除が認められます。

詳細はこれから発表されますが、経営力向上計画というのは、

経産局に2枚ほどの申請書を出すだけで受けられる簡単な制度です。

また、経営力向上設備についても5%以上の収益性がある設備であれば、経済産業局で認可を受けられます。

 

メーカーや商社については、自社で扱う製品について、購入者に情報提供を行うことで、

販売力の向上に繋げることも期待できると思います。

 

・営業権の償却方法の改正

これは経営者の方については必要のない情報ですが、個人的に気になったので(笑)

会社を合併したり事業譲渡した場合には発生するいわゆる『のれん』について

税務上は買収初年度の月割りを行わなかったのですが、行うようになりました。

会計処理に合わせてきた税制の改正かと思われます。